第37話 二つの月

投稿日 2023.07.23 更新日 2023.07.23

自室へ戻る岩凪⋯
たまたま同じバスに乗り合わせた占い師に
勝手に自分の心を読まれて
占われたことが
次第に腹が立って来た
「何もあそこまで言わなくても⋯」
ベットの上で横になり天井を見つめる
そして再び涙が溢れて来た
「ちくしょー!!でも事実だしな⋯」
しばらくすると
今日の帰り道の珍道中に心をかき乱され
湯世林から貰った薬のことをすっかり忘れていた事に
今頃になり気づいた
「ちょうどいいや、気晴らしに飲んでみるか」
岩凪は室内に置かれていたポットを手に取るとコップに注いだ
たった一包しかない
こぼさないよう⋯慎重に包みを解いて行く
中身は紫色をした粉末だった
「よし!!飲んでみるか!!」
岩凪は薬を口の中に入れるとコップの水を一気飲みした
   :
しばらくすると⋯
何とも言いようのない恍惚感に襲われ始め
立っているのが少し難しく感じられるようになった
ベットの上に座り
月明りが差し込んで来る窓の外を見つめた
トトバースには二つの月がある
一つはルナ、もう一つはルイと名付けられていた
「そう言えば⋯この世界に月が二つあったんだな⋯」
岩凪の意識は次第に明後日の方向に飛び始めた