第38話 月の化身

投稿日 2023.07.23 更新日 2023.07.23

次の瞬間である⋯
岩凪の目の前に二人の美少女が出現した
顔をほころばせる岩凪
「はじめまして、ルナです」
「はじめまして、ルイです」
それまでの悲しみは完全に吹き飛び
目の前に現れた二人の美少女に心をすっかり奪われた
二人は逃げることなく岩凪の傍に寄って来た
左右の両腕で二人を強く抱きしめ
泣き叫ぶように声をあげた
「我が人生に一片の悔いなし!!」
再び号泣する岩凪
しかし⋯
幻覚のはずなのに二人の美少女の感触が
妙に本当の意味でリアルだ
まるで本当に実在しているかのように
きっと、湯世林の調薬の腕が確かだったのだろう⋯
今はそう信じることにした
「ありがとうございます!!湯世林先生!!」
残された時間は30分だ
存分に美少女との時間を楽しもう⋯
その時である
岩凪の部屋のドアが突然開かれ酔ったシシルが乱入して来た
「おい!!晩酌に付き合え!!(ヒック)」
「えっ!!ええええええ!!マジかよ!!こんな時にぃいいい!!」
「ん?なんだ?その子らは?」
「えっ!?」
岩凪はシシルの言葉に硬直した
自分しか見えないはずである⋯なぜ、シシルまで見るのか
この騒ぎを聞きつけA子もやって来た