第09話 迷い

投稿日 2023.06.28 更新日 2023.06.28

A子と岩凪、この両者の気持ちが⋯
180度正反対に交錯する
岩凪は食堂の窓辺で一人静かにその日の夕食をとる
夕闇に赤黒く染まる運幸大連峰を見つめながらつぶやく
「あそこを越えれば⋯あの世か」
デスタウン、このトトバースでの滞在期限は
あと10日ほど残されていた⋯
それを過ぎて残れば不法滞在となり
強制的に閻魔大王の元へ連れていかれるのが
お約束となっていた
だが⋯デスタウンに永住許可申請する道があったのも思い出した
自分の場合、地獄に堕ちることはないだろうが⋯
果して天国へ行けるかどうか⋯
微妙なラインであることも自覚していた
しかし、地獄行きを恐れての申請は100%却下される
ちなみに⋯
地獄は刑務所のような更生施設であり
血の池や針の山のような怖いものがある訳ではない
万が一、地獄行きを言い渡れても
それを真正面から受け止め
霊界懲役に服することは覚悟していた
しかし⋯問題は地獄からの出所後
つまり、来世である
「やっぱり男として生まれ、死ぬまで美少女とチョメチョメしたい⋯」
複雑な面持ちで夕飯のメインディッシュである
サケのムニエルを口に頬張る
A子がポットを片手に岩凪に近寄る
「水、注ぐか?」
「ビール⋯飲みたいかな」
A子は頷くとビールを岩凪にところに運んで来た