第10話 小さな逃亡者

投稿日 2023.06.29 更新日 2023.06.30

その日の深夜
事務室で従業員の給与計算に追われるA子
凸や荘では20名近くものスタッフを雇用していた
ロッジとしてだけではなく
喫茶店やビアガーデン、雀荘なども営み
近隣住民の憩いの場としての役割も果たしていたのだ
時期によっては占い師を常駐させ占い館も併設している時もある
「こいつを片したら寝るか⋯」
眉間にしわを寄せながら電卓を叩く
時刻は午前零時を差しかかろうとしていた
その時である⋯
廊下の方から誰かの足音が聞こえて来た
本日の泊り客は岩凪一人である
「なんや⋯トイレか?」
ファイルを畳むと廊下に出てみることにした
何か妙に気になる⋯
案の定、廊下をゆっくり歩く人影があった。が、しかし⋯
岩凪にしては背が小さく子供のようだ
A子はすかさず廊下の明かりをすべて点灯させた
「お前!!誰や!!」
すると⋯
そこには酒酒天子が立っていた
「うわあああああああ!!ごめんなさーーーい!!」
口を開け唖然とするA子
とりあえず、事務室に引き入れることにした
話を聞くと⋯
別邸に戻った直後
クーデター派側に寝返った侍女たちに監禁されて
恒華へ送られそうになったところを
隙を見て逃げ出して来たとのことだった