第08話 来世への失望

投稿日 2023.06.28 更新日 2023.06.28

巡査の説明によると⋯
呪泉郷に不審者がいるとの通報を受けて
現場に急行したら全裸の岩凪が泳いでいたため身柄を確保
終始、岩凪の態度は素直であったため検挙でなく保護に切り替えた
何よりも動機が本人の勘違いによるものであったため
大事にするのは避けることにした
「A子ちゃん⋯ちゃんと説明した?」
「あそこは注意書きの板があちこち立ってるやろ。見りゃわかるやろ」
複雑な面持ちになる巡査
念のため、山荘が貴重品として預かっていた
岩凪の霊界通行証や身分証明書などの書類を確認する
巡査は再びパトカーに戻ると
岩凪を解放して山荘から去って行った
「まさか⋯裸になって入ったのか?」
「そう言うものだと⋯」
「らんま1/2のものとはちゃうで。願いを込めながら手を洗うだけでええんや」
「あと、あれは来世がそうなるってだけの話ですか?」
「せやで、お前、乙女の泉に入ったんか?」
「はい⋯」
「よかったな、お前、来世は乙女に生まれ変わるかもしれんぞ」
「かもしれない?」
「そりゃ、来世に転生したもんが結果報告して来る訳ない」
「ただの伝説ですか⋯」
「信じるもんは救われる!!さぁ!!夕飯だ!!元気だせ!!」
激しく落ち込む岩凪
「一時的になってみたかっただけだ⋯伝説が本当だったら⋯」
やはり⋯
チョメチョメされるより
チョメチョメしたい側の願望が強かったようだ
その晩、彼は大きな心境の変化に悩まされるのであった