第07話 落日
投稿日 2023.06.27 更新日 2023.06.27
運幸大連峰が夕陽に染まり始めると
A子が夕食の準備に入る
夜はビアガーデンも開いており
この凸や荘も本格的に忙しい時間帯に入る
もちろん、A子ひとりだけで切り盛りしている訳ではない
この時間になれば
近所からパートが何人か手伝いやって来る
昼間、別荘地の管理人をしている女性の話によれば
酒酒天子の別邸は
今は物々しい状況と化しているとのことだ
武装警察官による警備が行われ
マスコミ関係者と思われる者達が張り付いているらしい
テレビからは絶えることなく
恒華クーデター事件の様子が報じられ続けていた
「酒酒⋯今後、どないすんやろか」
ほそい目になるA子⋯
一方で、ある事実をすっかり忘れていたのにも気づいた
本日、チェックインした客
岩凪である
もうすぐ夕食の時間なのに帰って来ない
「そう言えば⋯あいつ、遅いなぁ」
すると外の方から赤色回転灯の明かりらしき光がチラチラと入って来た
窓の外を見ると一台のパトカーが止まっていた
「警察がなんや?」
よく見ると
パトカーの後部座席には岩凪がうなだれるように座っていた
巡査がパトカーから降りて来ると山荘に入って来た
「A子ちゃん!いる?あの彼、A子ちゃんのところの客?」
「ああ、そうや。どないした?」
すると巡査は困ったような顔をして事情を話し始めた