タルパ戦争 File39 自称DID
「アルファ⋯⋯アルファ⋯⋯」
「何だい?ベータ」
「ガンマから奇妙な話を聞かされたわ!」
「奇妙な話?」
「タルパ界隈で⋯⋯タルパ界隈で⋯⋯タルパが暴走して、ダイブ界から意識が半分くらい戻れなくなっている人がいるらしいわよ!」
「なんだって!とりあえず、デルタに報告しよう!」
「デルタ⋯⋯デルタ⋯⋯」
「何だい?アルファ」
「ベータから奇妙な話を聞かされたわ!」
「タルパ界隈で⋯⋯タルパ界隈で⋯⋯タルパが暴走して⋯⋯ええっと、アレ?なんだけっけ?」
パソコンの前で⋯⋯
一人そう呟きながらキー入力を続ける女性がいた。
部屋には彼女一人しかいない。
どうやらSNSへの投稿作業を続けているらしい。一通りキー入力を終え、手を止めると⋯⋯天井を見上げ、さらなる覚醒状態へ入る。
そして、白目を剥かせつぶやく。
「私の可愛い兄弟姉妹たちよ⋯⋯ああ、私の可愛い兄弟姉妹たちよ⋯⋯」
次の瞬間⋯⋯
彼女は瞳を正常な位置に戻すと、パソコンの画面を凝視⋯⋯
SNSへの投稿作業を再開した。
「これは救済の必要があります。イプシロンやゼーダと共に、このデルタが木口を助けましょう⋯⋯これは最上位神オメガの意思でもあります」
よくわからない⋯⋯
謎な独り言をつぶやき続ける。
そう、彼女はデルタの名でタルパ界隈で活動していたタルパー?のような感じの人物であった。
古参大物タルパーのレゴとも交流があった。
「そうだわ!この件はレゴさんや土偶さんにも知らせなくっちゃ!」
土偶⋯⋯
これまたタルパ界隈の古参大物タルパーとなる。
自称、元フランス外人部隊出身で⋯⋯
女性タルパーのナンパに勤しむ謎な男であった。とりあえず、タルパーであると同時に⋯⋯なんか、軍ヲタらしい。最近はめっきり姿を見せないでいたが、レゴ同様、デルタと交流は続いていたらしい。
デルタはレゴと土偶へDMを送る⋯⋯
そして、デルタは再び白目を剥かせると、天井に顔を向けて、両腕を大きく広げて叫び声を上げる。
「木口⋯⋯木口⋯⋯木口ぃいいいい!」
ダイブ状態へ入った。
そこは太陽系のパノラマが広がっていた。