第46話 拘束
夕菜は草むらの中をかき分けるよう進む⋯⋯
すると、突然、目の前に一人の幼女が現れた!いや、現れたと言うより、夕菜を待ち構えるように立っていたのだ。
「よぉ」
C子が下三白眼のいやらしい目つきで夕菜を見つめていた。これに驚く夕菜⋯⋯思わぬ出来事であったため、声すら上げることができなかった。
「お前、明晰夢使いか?」
「えっ!!なんでそんなこと分かるんですか!?」
「この島の夢を見る目的は何や?なんか気になるわ。教えろ」
「えっと、別に悪いことじゃないんだけど。あのね⋯⋯」
直後、夕菜は背後から体をいきなり持ち上げられ、大男らしき人物の肩に上に腹ばいになる形で抱え上げられた。
「ちょっと!!何すんの!!離してぇ!!」
「お前、ちょっと、うちらに付き合えや」
C子はそう言うと、無線機で部隊に撤収命令を下す。
大男らしき人物は人間ではなかった。抱え上げられる際、動物の毛のようなものが顔に当たったため⋯恐らく、ウサギかネコの獣人だろう。まぁ、C子に同行していた百戦錬磨の先任伍長である。
「お前、ホンマ、何しにこの夢を見とる?」
歩きながらC子は再び尋ねた。
「ポ、ポンスケと邂逅するためなのですぅううううう!!」
夕菜は少し泣きそうになりながらC子の質問に答える。
「ポンスケぇ?まさか、そいつ⋯⋯ウサギの獣人のことちゃうか!?」
「えっ!!なんでそんなこと分かるんですかぁ??」
C子は立ち止まり、細い目で下から夕菜の顔を覗き込む。
「なんぞ、ホンマにいろいろ聞きたいことがあるな~あ」
そして、再び、C子と先任伍長が歩き出す。砂浜へ出ると、他のチームとも合流して、沖合に停泊中のはまぐりからの迎えを待つ。
ゴムボートがやって来ると、先任伍長は夕菜をその中へ放り込んだ。流石に夕菜もこれにはキレた。
「ちょっと!!女の子なんだからもっと優しくしてよ!!」
「今からポンスケのところへ連れて行く」
C子がそう言いながら、夕菜に続くようゴムボートに飛び乗った。
「えっ!?」
驚く夕菜⋯⋯
「お前、あっちの世界では何しとる?」
C子は船外機のスターターロープを引きながら尋ねた。