第46話 希望の光

大切なものを奪われたような気分から
失意で呆然とする岩凪
とりあえず
事情聴取にあたった巡査も警察として性急なことは行わない
ただ然るべき関係機関にはすぐに連絡する
正式な通達があるまで
そちらでルナとルイの二人を預かって良しとされた
相変わらず廊下からはシシルと二人のはしゃぐ声が聞こえていた
自室の窓から
運幸大連峰を見つめ続ける岩凪
あと数日もすれば
あそこを越えてあの世へ向かわねばならない
その時、ドアをノックする音が聞こえる
「岩凪さん、いますか？僕です！！地獄の弁護士の」
岩凪はふらふらと立ち上がりドアを開けた
「ああ、弁護士さん⋯どうしたんですか？急に？」
「話、聞きましたよ」
「話？ルナとルイのことですか？」
「解決策ありますよ！！」
鬼の弁護士は岩凪に
親権を理由に執行猶予を得るための策を示した
それだけでなく同時並行で比較的審査のゆるい国への移民申請も
行ってみることを勧めて来た
それを⋯
廊下にいたシシルが小耳に挟む
「ウィキスタンなら可能性あるんじゃない？」
「そ、そうですね。審査期間も最短ですし僕も今提案しようとした」
「でも、二人は渡さないわよ！！」
「その子らの親権はとりあえず今は岩凪さんにあります！！」
鬼の弁護士はシシルを強く牽制する