なんかの予告編?大空への誓い
これは比較的近い未来のトトバースでのお話⋯
ガトー公国の首都ウィルクスの郊外にある閑静な住宅街で、親子三人仲睦まじく暮らしている家がありました。
人間の父親とエルフの母親、そして、その二人の間から生まれたハーフエルフの女の子です。
父親の名は⋯⋯いや、今はやめておきましょう。
母親の名も内緒です。
とりあえず、女の子はトボッチと言う可愛らしい名前をしておりました。
これある日の話です⋯⋯
近所の公園で地面に落ちていた飛行石を見つけ、それを拾って何となく全力で大空に向かって投げたところ⋯⋯偶然、上空を通りかかった戦闘機にあたり、撃墜させたことがありました。
青ざめるトボッチ⋯⋯
パイロットは即座にベイルアウトして無事でしたが⋯⋯
そのままパラシュートで降下するも、トボッチの自宅近くの樹木にひっかりり宙づり状態と化しました。
トボッチはパイロットの近くへ走ります。
「あーお嬢さん!ちょうど良かった!誰か呼んで来てくれないか?」
「ごめんなさい!ごめんなさい!本当にごめんなさい!まさか飛行機に当たるなんて思ってませんでした!ごめんなさい!」
「あーいや、そのぉ~なんかよくわかねぇーけど⋯⋯誰か、大人の人を呼んで来てくれる?」
「今、下ろしてあげます!天にまします我らのゴニョゴニョ⋯⋯我に雷の力をゴニョゴニョ⋯⋯」
「ははは、君⋯⋯可愛いね。エルフ族?俺の名はポク⋯⋯あれ?それってもしかして⋯⋯魔法?それで下ろすの?え、ちょ!」
次の瞬間である⋯⋯
「とぉおおおおおおおる!!」
晴天の青空であったのに突然上空に雷雲が立ち込め、激しい雷が目の前の樹木に落ちた。
一瞬、パイロットの全身をレントゲンで写したような構図が見える⋯⋯
樹木は粉々になりパイロットは地面に下りることができましたが、意識不明の重体となり、そのまま救急車で運ばれることになりました。
騒ぎを聞きつけてやって来たトボッチの母が厳しく彼女を叱りつける。
「お外で魔法は使っちゃダメって言ったでしょう!」
小さい子供のやったことなので無罪放免となりましたが、その出来事をきっかけに、トボッチの大空に対する想いが強まって行きました。