タルパ戦争 File42 どこでもドア
ドラえもんの秘密道具でお馴染みのどこでもドア⋯⋯
これにはある大きな問題が隠されているのをご存知だろうか?
どこでもドアに入って行ったのび太とドラえもんは⋯⋯果たして、出て来たものと同じなのだろうか?
どこでもドアの入口と出口の間は異次元空間である。
一度、量子分解されている可能性が高い。つまり、のび太とドラえもんはどこでもドアを通過する度に死んでおり、ドアから出て来た二人は量子結合された別人と言うことになる。
C子のサマン博士に対するツッコミは⋯⋯
これに対する不安からである。
しかし、サマン博士曰く⋯⋯
我々の意識は別次元で一元的に管理、保存されたものに紐づいているので、どこでもドアやタイムマシンなど、異次元空間を跳躍するシステムにおけるその手の課題は回避できるとのことだった。
例えば⋯⋯
A地点からB地点へワープするなりタイムトリップするとする。
普通にA地点からB地点へ飛んだら一度死ぬことになる。しかし、C地点に元の意識があるとする。
つまり、C地点とA地点の紐づけを、C地点とB地点の状態へ切り替えることで、同一人物の意識を保ったまま、A地点からB地点へ飛ぶことができると言うことだ。肉体はバラバラになるからやっぱ死ぬが同一人物である。
とりあえず⋯⋯
C子は納得してエンジン換装を承諾した。
その後、会議はおひらきとなり、B子とサマン博士は無人機のオペレーションルームへ戻るが⋯⋯カラオケが大好きでマイクを一度握ったら容易に手離さないことで知られたB子に、拡声器をいいように使われてしまった。
「B子中佐!ダメでしょう!これはまだ試作機です!正式にロールアウトされたものではありません!」
サマン博士が怒り狂う⋯⋯
流石のB子もタジタジとなる。
「いや~すまんかった!マイクがあるとどうしても歌いたくなる。なはは」
「お願いですから今後は技術サイドの指示に従ってください」
「ところで、大尉は何しようとした?」
「ああ、俺か?こいつで女湯でも覗こうと思ってな」
目眩に襲われるサマン博士⋯⋯
「ところで博士、こいつで未来も見れるよな?」
ポクシーの言葉に博士は顔を青ざめさせた。