タルパ戦争 File41 戦いの序曲
それは土偶なる古参タルパーからのDMだった⋯⋯
木口は零の助言に従い、適当に話を合わせるため、適当な返信をして見た。
「えっと⋯⋯今、僕ばダイブ界に閉じ込められています。ぼやっとですが、現実世界の視界は見えます。半濁の意識状態で⋯⋯どうにかパソコンを操作して、返信のDMを作成しました。乱筆乱文はご容赦ください⋯⋯っと」
すると⋯⋯
すぐに反応が返ってきた。
「はや⋯⋯タルパ界隈の住人って、パソコンの前に張り付いて生活しているのか?」
「なんて書いてあるの?浩一!」
タルパの零が木口を急かす⋯⋯
「一時間後にダイブしようだって⋯⋯Skype用意しておくか」
そう、タルパ界隈では共有ダイブする際、参加者はSkypeで直接意識疎通を図りながらやるのが当たり前だった。
「土偶さんか⋯⋯聞いたことはあるけど、今まで関わった事のないタルパーだな。初めての人だ」
木口は土偶のSNSアカウントで彼のプロフィールを確認する⋯⋯直後、木口はフリーズした。零が指で木口の腕を突くも反応なし。
「浩一!こういち!!」
「ああ、すまない⋯⋯なんか、本当に意識が朦朧としてきた」
明美が木口の見ていたものを覗き込む。
「すごいわ!彼!お兄ちゃん!ダイブの約束取りつけて!」
「え?お前、どうするつもりだ?」
「そりゃ私が変わりに⋯⋯へへへへへへ」
木口は迷ったが⋯⋯
頭が本当にクラクラして来ていた。その日は零に自らの身体に対して霊障を起こすようお願いしていたので疲れていた。
「明美⋯⋯悪いんだけど、土偶の相手⋯頼むわ。俺はもう寝る」
「ホント!!ホントにいいの!!」
「ああ、お休み⋯⋯っと、その前に約束のDMをっと⋯⋯ところで、Skypeはどうする?霊能者なら声の偽装はかんたんだよな?」
「もちろん!お兄ちゃんそっくりの声出せるわよ!私は物理干渉もできちゃうからSkypeのヘッドセット繋いで置いといてくれば後はOK!」
木口は明美の指示通り、Skypeのヘッドセットも準備した。
そして、木口は大きなあくびをすると、そのままベットへ倒れ込むように寝込み⋯⋯朝まで深い眠りに就いた。
「前哨戦ね!戦車隊も待機させるわ!」