タルパ戦争 File25 霊視

投稿日 2024.06.11 更新日 2024.06.16

 山伏のような出で立ちをした更梨⋯⋯

 羽田空港近くにある廃工場の中で、霊視の儀式を執り行っていた。

 業火の炎を上げるように燃えたぎる薪木を目の前に、鬼のような形相で睨みながら、法力の呪文を唱え続ける。

「浮島、木口⋯⋯この俺がお前らを看破してやる!!」

 暗闇の中、揺らぐ炎の光で、更梨の表情は不気味さを一層増していた。とりあえず、手始めに木口に対する霊視を試みる。

「木口ぃいいいいい⋯⋯木口ぃいいいいい」

 次の瞬間である⋯⋯

 ガコーン☆

「痛っ!!」

 突然、頭上から金だらいが降って来た。

「なんだ??なんで、金だらいが降って来たんだ!?」

 すると、目の前の焚き火の炎の中から、赤い着物を着た座敷わらし風の女の子が出現⋯⋯更梨を睨み目を光らせていた。

「お兄ちゃんに手を出すな!!」

 女の子は⋯⋯

 更梨の方に向かって、ゴジラのように口から火を吐き出してきた。

「あぢぃいいいい!!」

 更梨は慌てふためき、後始末のため事前に用意しておいたバケツ水を、頭から被った。そして、柴ドリルで水を吹き飛ばす。

 目を開けると⋯⋯

 女の子は消えていた。

「今のは一体⋯⋯なんなんだ???」

 気を取り直し、今度は浮島に対する霊視を試みる。

「浮島ぁあああああ⋯⋯浮島ぁあああああ」

 次の瞬間である⋯⋯

 ガコーン☆

「痛っ!!」

 またもや、頭上から金だらいが降って来た。

「また金だらいが降って来た??」

 すると、目の前の焚き火の炎の中から、狐耳の美女が出現⋯⋯更梨を睨み目を光らせていた。

「お前、譲司との〇ぐわいを邪魔したな!!」

 狐耳の美女は⋯⋯

 更梨の方に向かって、ゴジラのように口から火を吐き出してきた。

「あぢぃいいいい!!」

 更梨は慌てふためき、後始末のため事前に用意しておいたバケツ水を⋯⋯それはもうなかった。廃工場から飛び出て、近くの運河に飛び込んだ。

 水面から顔を出すと、海水を口から噴き出す⋯⋯

 ふと、空を見上げると⋯⋯

 光るボール状の物体が浮かんでいた。

 小刻みに震えている様子から、まるで笑っているかのように見えた。