タルパ戦争 File25 霊視
山伏のような出で立ちをした更梨⋯⋯
羽田空港近くにある廃工場の中で、霊視の儀式を執り行っていた。
業火の炎を上げるように燃えたぎる薪木を目の前に、鬼のような形相で睨みながら、法力の呪文を唱え続ける。
「浮島、木口⋯⋯この俺がお前らを看破してやる!!」
暗闇の中、揺らぐ炎の光で、更梨の表情は不気味さを一層増していた。とりあえず、手始めに木口に対する霊視を試みる。
「木口ぃいいいいい⋯⋯木口ぃいいいいい」
次の瞬間である⋯⋯
ガコーン☆
「痛っ!!」
突然、頭上から金だらいが降って来た。
「なんだ??なんで、金だらいが降って来たんだ!?」
すると、目の前の焚き火の炎の中から、赤い着物を着た座敷わらし風の女の子が出現⋯⋯更梨を睨み目を光らせていた。
「お兄ちゃんに手を出すな!!」
女の子は⋯⋯
更梨の方に向かって、ゴジラのように口から火を吐き出してきた。
「あぢぃいいいい!!」
更梨は慌てふためき、後始末のため事前に用意しておいたバケツ水を、頭から被った。そして、柴ドリルで水を吹き飛ばす。
目を開けると⋯⋯
女の子は消えていた。
「今のは一体⋯⋯なんなんだ???」
気を取り直し、今度は浮島に対する霊視を試みる。
「浮島ぁあああああ⋯⋯浮島ぁあああああ」
次の瞬間である⋯⋯
ガコーン☆
「痛っ!!」
またもや、頭上から金だらいが降って来た。
「また金だらいが降って来た??」
すると、目の前の焚き火の炎の中から、狐耳の美女が出現⋯⋯更梨を睨み目を光らせていた。
「お前、譲司との〇ぐわいを邪魔したな!!」
狐耳の美女は⋯⋯
更梨の方に向かって、ゴジラのように口から火を吐き出してきた。
「あぢぃいいいい!!」
更梨は慌てふためき、後始末のため事前に用意しておいたバケツ水を⋯⋯それはもうなかった。廃工場から飛び出て、近くの運河に飛び込んだ。
水面から顔を出すと、海水を口から噴き出す⋯⋯
ふと、空を見上げると⋯⋯
光るボール状の物体が浮かんでいた。
小刻みに震えている様子から、まるで笑っているかのように見えた。