タルパ戦争 File12 孔明の策
浮島はこんな提案をして来た。
一度、オカルト懇親会と称して、他大学のオカルト部、オカルト研究会と飲みの場を設けようと提案して来たのだ。
幹事は言い出しっぺの自分がやるべきだが⋯⋯
木口に依頼して来た。
自分は更梨を始めとする、他大学のメンバーの様子を観察、霊視による情報収集を試みたいとの話だった。
そう、更梨を呼び出すのだ。
「彼はうちの大学(のオカルト研究会)に強い関心を持っている様子だしね。事前にそうしたことをしておく必要もある。もちろん、代表として必要最小限の挨拶くらいは交わすよ」
「なるほど・・・法政大の更梨さんと、事前に腹を探り合うんですね」
「僕も彼と直接会ったことがないので分からない部分が多い。こうした催しが必要だろう」
「そうですね!やりましょう!」
意気投合する浮島と木口⋯⋯
とりあえず、この一件と並行するように、木口に執着している座敷わらしの女の子も、どうにかしようと言う話になった。
「早速だけど、今週のどこか⋯⋯木口君の自宅に行っていいかな?」
「えっ、なら⋯⋯明日にでも⋯⋯忙しいからダメですかね。僕は基本的にいつでも構わないので、浮島さんの都合のいい日時でお願いします」
木口の父親は大手総合商社の幹部社員で⋯⋯
現在、母と妹らと連れてニューヨークに赴任していた。都内にある木口の自宅は、今は木口一人だけの生活の場となっていた。
「座敷わらしに好かれると⋯⋯生気すら吸われて、最後はあの世へ引っ張り込まれるケースもある」
「それは、ちょっと初耳です⋯⋯ちょっと、なんだか怖いです」
「座敷わらしにもいろいろなタイプがいるんだけど⋯⋯所詮は不成仏霊みたいなものだからね。厄介なタイプに執着されると、取り憑いた人とあの世で一緒になるため、そうすることもあるらしい」
浮島のこの話に息を呑む木口⋯⋯
真夏の炎天下であるにも関わらず、背筋が寒くなる。
「でも、どうして僕みたいな男に⋯⋯」
「それは現場に行ってみないと分からない。ただ、本当にヤバイ相手なら躊躇ず浄化するよ。本当にいい?生活が大きく変わるよ。場合によっては以前の方が良かったと後悔するかもしれない」
木口に再考を促す浮島⋯⋯