タルパ戦争 File09 座敷わらし

投稿日 2024.04.14 更新日 2024.04.14

 決行の日取りについては、また別の機会で決めようと言う話になった。

 事前に下調べをしておく必要のあるものもあった。

 しかし、浮島の思いもよらぬカミングアウトに、少しだけ驚く木口⋯⋯浮島が発案して、タルパ界隈で徐々に成功事例が上がり始めた共有ダイブは、実は許嫁との遠隔による〇ぐわいが本当の目的であったのだ。

「僕は将来、恐妻家になるかもしれない⋯⋯彼女の霊能力はすごい」

 浮島は欄干にもたれかかり、東京の空を見つめ続けていた。

 その目は今の悲しい状況と⋯⋯将来に対する期待のような感情も交錯した、そんな不思議な目をしていた。

「浮島さん⋯さっき言った、僕から出てる女性の念ですが⋯⋯」

「具体的に知りたい?」

「ちょっと、知っておきたいかもです」

「差し支えがなければ、詳しく遠視できるけどいい?」

「お、お願いします!」

 浮島は木口からそうお願いされると、その場で木口の額に右手をかざして目を瞑る。そして、精神統一の状態に入った。

「こ、これは⋯⋯」

「何か⋯⋯もう、見えたんですか?」

「小学校4~5年生くらいの女の子が⋯⋯木口君の自宅にいる様子だ⋯⋯木口君に妹さん⋯⋯いたっけ?」

「えっ、妹なら今、ニューヨークにいますけど」

「赤い着物を着ている⋯⋯なっ!!こいつは!!人間じゃない!!」

「えっ!!」

「君のタルパ、零君も気づいていなかったのか?零君!!」

 直後、零が浮島と木口の間に割って入って来た⋯⋯

 タルパは通常、主観的な存在であるため、所持者以外から見えず対話はできないが⋯⋯浮島は凄腕級の霊能者、日本屈指の陰陽師であったため、他人のタルパと対話することもできたのだ。

「浮島さん⋯⋯赤い着物を着た女の子なら知ってます」

「どうしてそれを所持者(マスター)に伝えない。それはタルパの義務、使命でもあるんだぞ」

「その子から黙っていて欲しいと強くお願いされて⋯⋯でも、その子はぜんぜん悪い子じゃない。僕以上に力を持った浩一の守護霊⋯いや、守護神だ。僕自身も黙っていた方が浩一のためだと判断していた」

「こいつは少し特別な座敷わらしだぞ⋯⋯木口君の将来を大きく左右する」

「必要とあらば、僕が責任を取るつもりでいた」