第69話 防衛省の極秘調査
ここ数年の間、日本国内で不可思議な心霊現象が起きていた⋯⋯
12月25日のクリスマスを境に急激に増え出すもので、北は北海道から南は沖縄まで、全国各地で起きていた。そして、スギ花粉が舞い始める春先頃から徐々に減り始め、夏以降は滅多に起きなくなる。
被害者の証言によると⋯⋯
まるで、海外の特殊部隊を思わせる集団だったそうだ。
夜、寝ていたところ、突然、戦闘服を着た大柄の男たちが現れ、全員、ハリセンを手に持っており、それで容赦なく叩きのめされるらしい。最後には、クリスマスで貰った物を破壊されたり、奪われると言うものだった。
それらの事件に共通して言える点は⋯⋯
被害者のいずれもが、クリスマスプレゼントにまつわる胸糞の悪い話を披露して来る点だ。具体的には⋯⋯贈った者の側の気持ちを踏みにじったり、約束を反故にしていたなどである。
中には布団ごと部屋から運び出され、そのまま、近所の用水路に放り込まれた者もいるらしい。
クリスマスで貰ったものを転売した者はそうなるらしい。
どいつもこいつも⋯⋯
自業自得と切り捨てても構わない胸糞の悪い話だ。
別に放置しておいても問題はないだろう⋯⋯天罰だ。そもそも、これのどこが心霊現象か?ただの住居不法侵入、暴行傷害、器物損壊、強盗なので、警察に通報すれば良いだけに思われる。
だが、そうできない理由があった。
実行犯らは一切の証拠を残さない上、幽霊のように姿を現したり、消したりするからだ。通報しても警察に信じてもらえないのがオチだった。
そうして、謎の都市伝説としても語られ始めていた。
だが⋯⋯
政府はその事実を知っていた。
実は、中露による超常現象の軍事転用が噂されるようになったのをきっかけに、防衛省内で分析が行われていたのだ。
もちろん、当初は誰もそんなものは信じていなかった。恐らく⋯⋯極秘研究を隠蔽するための情報操作、偽装工作に思われた。
エリア51もそうだ。
米軍が最先端の軍事研究を隠蔽する目的から、故意にUFOの噂話を流していたのは周知の事実である。
だが、防衛省による調査の結果⋯⋯
霊や超能力が本当に存在し、軍事転用されていた事実が判明する。