第31話 夢の中でメタい発言をする幼女

投稿日 2024.01.06 更新日 2024.01.07

 夕菜を細い目で見つめ続ける謎の幼女⋯⋯

 最初は幼稚園のセーラー服かと思っていたが、着ているものは海軍の制服のようで、階級章のようなバッチも光輝いていた。

 遠巻きでは可愛らしく見えたネコやウサギの水兵達も⋯

 間近で見ると、夕菜の身長よりも大きく、全員、厳つい表情をしていた。ヘルメットに防弾チョッキを着用しており、両手には銃を持っていた。

 夕菜は次第に恐怖を覚え始めた。

「この島は民間人立ち入り禁止やぞ?どこから上陸した?」

「えっと⋯⋯なんて、説明したらいいかな?」

「それとお前、魔法使いか?えらい高さから飛び降りて来たようやが?」

「困ったな」

 勇気を振り絞り、魔法使いを演じてみることにした。実際、明晰夢の中にいるので、魔法使いのような真似事は可能である。

「そ、そ、そうよ!私は魔法使いよ!」

 その直後、周りにいた水兵たちが、次々と持っていた銃の撃鉄を起こして、夕菜に向けて来た。

 しかし、目の前にいる幼女が両手を広げ、静止させた。

「全員、やめろ!銃を下ろせ!」

 幼女ではあるが⋯⋯

 どうやら階級が高く、この中で一番偉い様子だった。

「こいつ、視点がまったく定まっておらん!素人や!戦い慣れしとらん!」

「は、ははは⋯」

 助けられているのか、貶されているのか⋯⋯夕菜にはよく分からなかった。

 明晰夢は本当にリアルである。

 夢の中と言えども、銃で撃たれるなどショッキングな内容の場合、心臓麻痺を起こして死ぬ場合もある。実は不用意な行動もできないのだ。

「お前、ホンマどこから来た?こっちの世界のもんか?」

 夕菜は驚いた。

 今、士官らしき幼女は「こっちの世界」とメタいことを言った。夕菜を細い目で見続ける幼女⋯⋯

「あの、私⋯⋯そろそろ戻るね。いい?」

「なるほど、やっぱそうか」

「えっ?」

「まぁ、ええ。気にするな!あっちの世界で何しとるもんか知らんが達者でな」

 夕菜はその直後に目覚めた⋯⋯

 上半身を勢いよく起こし上げ、両手を見つめ、グーパーして現実世界へ戻って来たことを確認した。

 時計を見ると、まだ、深夜の午前三時だった。

「夢の世界の住人が⋯⋯」