プロローグ ある女子高生の人工精霊タルパ
この物語は⋯⋯
東京都豊島区在住のある女子高生の身に起きた話である。
彼女の名は御前賀夕菜、17歳⋯⋯
区内の都立高に通うオカルト大好き少女だった。
ある日、オカルト雑誌に掲載されていた「人工精霊タルパの作り方」なる記事を読み、自分もそれを作り出す意欲に駆られる。そして⋯⋯
あっさり完遂させてしまう。
タルパとはチベット密教の秘奥義として知られるもので⋯⋯とどのつまり、幽霊を作り出そうと言う話になる。故に人工精霊とも呼ばれ、心理学的にはイマジナリーフレンドに近いものと言える。
夕菜は幼い頃に夢見た⋯⋯
人間の言葉が理解できて、話すことのできる動物を欲し、小さなウサギのタルパを作り出した。そして、ポンスケと名前を付けた。
男の子のように、元気で明るい性格をした存在へと成長して行く⋯⋯
タルパとの生活は楽しいものだった。
しかし、ある日を境にして思わぬ不幸に見舞われ始める。
ポンスケとの楽しい生活を書き綴ったブログや、他のタルパ愛好家らとの交流を目的にSNSアカウントを開設していたのだが⋯
ブログのコメント欄に意味不明な内容が書き込まれ始めたり、不可解なDMが送り付けて来られるようになる。果ては、関連する各所の掲示板で⋯⋯夕菜やポンスケに対する匿名での誹謗中傷が連日連夜行われ始める。
「やめろ!消えろ!」
一体、どこで調べたのだろうか⋯⋯
夕菜の通う学校も特定され、学校に関係する掲示板にも中傷の書き込みがされ始めるようになる。
誰かに怨まれるようなことはしてない⋯⋯
身に覚えがなく、誹謗中傷魔によるネットストーキングに怯える日々が始まる。学校でも夕菜に関する妙な噂が流れ始め、現実生活も支障が出始める。そして、とうとう⋯⋯精神的に追い詰められ、部屋に閉じ籠るようになる。
「夕菜ちゃんをいじめるやつは許さない」
ポンスケの怒りは頂点に達し⋯⋯
遂に、主人(マスター)である夕菜を悲しませた者に対する復讐を決意、そのための行動を起こす。
タルパが恐怖の怨霊と化す⋯⋯
オカルト・スピリチュアルの世界に居座っている⋯⋯性悪なメンヘラや意地の悪いヲタクらに対して、次々と裁きの鉄槌が下され始める。