第44話 実験

警察からの突然の問い合わせに
困惑する湯世林
「たった一回の服用で具現化したのかよ⋯」
岩凪から受け取ったメモは今も手元に保管してある
もう一度調合してみて
今度は自分自身で試してみることにした
中毒性のある幻覚薬の販売は禁止されている
中毒性のある幻覚薬が原因で
いずれ思わぬものが具現化されないとも限らない
末期的な薬物中毒患者の想像するものは
狂気に満ちたものだ
過去には思念凶獣と呼ばれる
人を喰らう化け物を具現化させた者もおり
かなり危険だ
しかし⋯
中毒性がなく正気を保ったまま
様々のものを自由自在に具現化できる薬だとすれば⋯
「これで大儲けできるぞ！！」
湯世林はそう叫んだ
早速、調合作業に取りかかる湯世林
すぐに完成させると
ためらうことなく服用した
とりあえず実験である
湯世林は金だらいをイメージし続けた
徐々に薬の効き目が表れ始め
まどろみの中で金だらいをイメージし続けた
その直後である⋯
湯世林の頭上に金だらいが出現
そのまま落下して彼の頭を激しく打ち付けた
一気に酔いのようなものが覚め薬の効き目が消失した