第29話 運命の地

投稿日 2023.07.15 更新日 2023.07.15

いよいよ⋯
バスは目的地に到着した
岩凪は華僑の男性と別れを告げると
まずはユセリアの移民受入センターへ真っ直ぐ向かった
国境検問所を中心に
ちょっとした交易の街を形成しており
貿易商人でごった返していた
検問所の遥か向こう側に都市のようなものが望めた
ニヴォシフリスクと言う⋯
ユセリアの地方中核都市らしい
移民者はまずそこに住むことになり
最終的にユセリアの各地方へ定住させられることになるとの話だ
きっと大きな施設で
見つけやすいだろうと安易に想像していた
しかし⋯移民受入センターなるものがなかなか見つからない
岩凪は市場のような場所をグルグル歩き回って
ひたすら探し続けた
幾人かの市場の店主に尋ねみたが⋯
返って来た答えはどれも似たようなもので
絶対に行くな⋯不幸になる⋯あなたのために教えない⋯
であった
岩凪は増々行きたい意欲に駆られ始めた
「なんだよ!!こうなったら意地でも絶対に見つけ出してやる!!」
直後、岩凪は尿意を催し
市場の店主に今度はトイレの場所を尋ねた
多忙な状況でもあるに関わらず
親切丁寧に教えてもらうことができた
「トイレの場所は親切に教えてくれるのに一体なんだ!?」
市場の公衆トイレに直行する岩凪
入ろうとしたトイレの入口の隣に謎めいたドアがあったのを発見した