第16話 四十九日法要

ドラックストアいわなぎ―
岩凪裕の祖父の代から続く薬局である
近年は食料品や日用品も取り揃え大型スーパーと化していた
隣接地には大規模な総合病院「斎藤病院」もあり
調剤薬局としても繁盛していた
跡継ぎを失った岩凪家は
悲しみに暮れていたかのように思われていた⋯
「裕の四十九日法要、どうなさいます？」
「それより鉄道会社への賠償金支払いが問題だわ！！」
「でも、お葬式がアレじゃ⋯せめて四十九日の法要くらいは⋯」
「わしは認めんぞ！！あんな変態に育てた覚えないわ！！」
裕の父と母の⋯悲痛な会話がやり取りされる
岩凪裕の葬儀は盛大に執り行われた
学生葬として彼をあの世に送り出したい⋯
最初はそう聞いていた
しかし、鯨幕の代わりに無数の美少女アニメキャラクターの枕カバーが
女装コスプレした有志らの手により張り巡らされ
棺桶の中には
大量の〇〇の玩具が詰め込まれた
出席した親族らも葬式なのに終始大爆笑
お経を読み上げる僧侶も
笑いを堪えきれず⋯何度も読み間違えたり舌を噛むと言った
メチャクチャな状況と化した
出席者の中には、当然、斎藤病院関係者もいた
四十九日を迎える前に⋯
病院関係者の間で三代目変態薬局と
陰口も囁かれるようになり
ネタにされていた
一方、そんな現世に残る家族達の苦悶を気にすることなく
岩凪裕はデスタウンで旅を続けた