第04話 青年の変身願望

投稿日 2023.06.25 更新日 2023.06.30

フロントに戻るA子
「ふーう、ホンマ人生いろいろやな⋯」
すると、元気のいい威勢のある
いつも声が聞こえて来た
「遊びに来たすぎぃいいい!!」
酒酒(しゅざけ)である
近くの別荘地で夏の間だけ過ごしている他国の王女であった
ピータン王国の東隣の隣国、恒華の王女である
よく喫茶コーナーに来ては
A子や別荘地の同じ年齢の子らと談笑して楽しんでいた
「おう、いつもやつでええか?」
「アイスクリームソーダ♪アイスクリームソーダ♪」
満面の笑みでソーダをすする酒酒天子
しばらくすると、別荘地の子らも徐々に集まりはじめ
いつもと変わらぬ楽しい時間がやって来た
すると⋯
先ほどチェックインしたばかりの岩凪が
奥から静かに現れて来た
それに気づくA子⋯
「おい、出かけるのか?」
「ちょっとあたりの散策にでも」
「なら、おすすめは呪泉郷やな。行ってみるとええで」
「入ると美少女になれる泉ありますか?」
「あるっちゃあるわ。探してこい。三途の川に渡る前のお楽しみや」
A子は壁に貼られていた案内図の呪泉郷のある位置を指差す
岩凪は目を輝かせながら足早に出て行った
「まぁ、伝説や⋯ええ夢見てこい」
A子はそうポツリとつぶやいた
相変わらず
喫茶コーナーでは女子たちの騒ぎ声が鳴り響いていた