タルパ戦争 File51 霊能者を自称した者の末路
凸都大学医学部付属病院⋯⋯
24時間365日休むことのない戦う病院である。救急の受け入れ要請は断らないがモットーだ。
救命救急の専門医として一人の医師が日々奮闘していた。
いろいろある⋯⋯
自殺を図ろうとした者に対する怒りは尋常でないが、それでも医師として全力を尽くす。
「御前賀先生!また救急受け入れ要請です!」
「状況は?」
「市販薬の過剰摂取による意識喪失です!」
看護師が受話器を耳に当てながら叫ぶ⋯⋯
「またODか⋯⋯たくっ、絶対に生還させて説教してやる!バカ親に変わってこの俺が往復ピンタしてやる!」
青年を載せた担架が処置室へ運び込まれる。そうして、御前賀医師は一人の青年の命を救った。
意識を取り戻した青年に対して⋯⋯
「おいコラわれ!何さらしとんのじゃボケが!全快したらシバくから覚悟しておけコラ!」
そう耳元でがなり脅迫した。
「御前賀先生!また救急受け入れ要請です!」
看護師の叫び声が鳴り響く⋯⋯
「状況は?」
「自宅で発狂して暴れ回った挙句、意識を失ったそうです」
「また薬物がらみか??まぁいい!!受け入れだ!!生還させてぶん殴ってやる!!この凸都大学病院に搬送されたのが運の尽きだ!!」
間もなく救急車が到着⋯⋯
担架に載せられた一人の若者が運び込まれた。だが、若干、意識は取り戻している様子だった。
「おいコラわれ!!何さらした?薬か?ああ?全快したらシバくぞゴラ!!」
これにドン引きする救急隊員たち⋯⋯
青年は弱々しい声で御前賀医師に何かを伝えようとした。
「助けてぇ⋯⋯やって来る⋯⋯やって来る⋯⋯」
「何がやって来るんや!?」
「戦車が⋯⋯戦車が⋯⋯戦車に踏みつぶされる⋯⋯」
「センシャ?洗車のことか?今は車の心配なんかしなくてええわ」
「いえ、大砲とか機関銃の付いている乗り物です」
次の瞬間、御前賀医師はこの若者の耳元でこうがなった。
「お前はバカかあああああ!どうせ薬だろ!全快させたらリハビリ棟で拷問してやる!覚悟してとけボケぇがあああ!」
青ざめる救急隊員たち⋯⋯
一方、看護士は平然とした顔で点滴の準備を始める。