タルパ戦争 File32 物理干渉
木口の自宅は壮絶な状況と化していた⋯⋯
ポルターガイスト現象により、家の中にあるものが次々と配置を変える。しかし、いずれも破損には至らず、本当に位置が変わるだけであった。
そりゃ、木口の妹、明美が犯人だからだ。流石に自分の家にあるものは壊せない。しかし、それを元の位置に戻すのに難儀した。
よくあるだろう⋯⋯
家具を動かしてみたら、ホコリが溜まっていたり、汚れが酷くなっている状態を発見するのを⋯⋯
律儀でマメな性格をした木口は、それが放置できなかった。こんな事が昨晩から30分おきくらいに発生し続けていた。木口が一階のリビングで上下逆さま状態にさせられたソファを直していると⋯⋯
今度は二階の両親の寝室から大きな音が鳴り響く。
「おいおい、今度は一体なんだ?」
木口が二階へ行って見ると、両親のベットが上下逆さま状態に積み重なっていた。木口は妹にやめるよう電話を入れようとするも⋯⋯
着信拒否状態だ。
メールを送ってもガン無視が続く。
「明美⋯⋯頼むから、もうやめてくれ!」
もう一回、電話をしてみる。すると、今度はつながった。
「もしもし!明美!聞こえるか?お前なのか?東京の自宅が大変なことになっている!もう、やめてくれ!」
《どう?私の力、思い知った?》
「何のためにこんなことやってんだよ⋯⋯頼むから、もうやめてくれ」
《お兄ちゃん、今、何か面白そうなこと⋯⋯企んでいる様子ね。それ、私にも参加させてくれる?ニューヨークからダイブするわ》
「⋯⋯」
その時、木口のタルパの零が、木口の袖を掴み首を横に振る。
「ダメだ!これは俺の大切な友人との問題だ!遊びじゃないんだ!」
《友人って⋯⋯女の人でしょ!!許さない!!》
直後、タルパの零に異変が起きる。
「こ、浩一!!なんか、僕⋯⋯うわあああああああ!!」
「どうした!!零!!おい、明美!!俺のタルパにだけは手を出すな!!それだけは許さない⋯⋯えっ??おい!!やめろ!!うわああああああ!!」
《言ったでしょ、私、お兄ちゃんより強いかもって》
木口と零は床に倒れ込む⋯⋯
《お兄ちゃんの思考、私にもなんとなくわかるから。じゃ》プチ☆ツーツー