タルパ戦争 File28 姉妹の再会

投稿日 2024.06.12 更新日 2024.06.12

 ガトー公国首都、ウィルクス市⋯⋯

 人口は現実世界の東京都と同じ1400万人弱。

 ドイツのフランクフルトを模したような感じのする⋯⋯典型的なゲルマン文化風の街並みをした都市だった。

 当然、ガトー公国の多くの政府機関も集まっており、国防省や軍関係の施設がその最多となっていた。

 国防省の一室で、二人の幼女姉妹が久々に対面する⋯⋯

「おう、C子!元気やったか!」

「B姉も元気そうで何よりや!」

 そう⋯⋯B子とC子である。二人とも、今はダイブ界、トトバースでの生活が中心となっている。

「久々の対面に水を差すようで申し訳ないが⋯早速、本題に入りたい」

 トゥコ・サマン博士も同席していた⋯⋯

 彼以外にも海軍作戦本部の士官、軍の研究本部の技官らもいた。

「はまぐりのエンジンを換装させる?」

「現在のタルパニウム原子炉による機関システムを、次元航行を可能にしたウンコニウム核融合炉へ換装させます」

「でっていう」

「⋯⋯それ古いですよ。もう死語ですよ。それ」

 C子の思わぬツッコミに対して⋯⋯少しだけ大人げない反応を見せるサマン博士。眼鏡の位置を直し、再び説明に入る。

 博士曰く⋯⋯

 早い話、時空を飛び越えて、現実世界の海も航行できるエンジンを搭載するとの話だった。

 これに対してC子は目を細める⋯⋯

「ホンマにそれ実現可能なんか?正直、信じられへんな」

「C子よ。それがホンマにできるんや!しかも、好きな時代に飛べる。タイムマシンにもなる!航空隊で試作機が完成しとる。うちがそれを操縦した!」

 B子がC子の疑問に対して答える。

「何!?それホンマか??」

「ホンマや!先日もタルパ戦争を調査するため、10年前の現実世界を偵察した。厳密には遠隔操作の無人偵察機になるがな」

「B姉⋯⋯生身の人間が乗った状態ではどうなんや?大丈夫なんか?」

 これに対してサマン博士が答える⋯⋯

「それには心配に及びません。すでに私が自分の体を使って試しました」

 会議室内にいた一同がドン引きする。

 そして、C子がつぶやく。

「お前、ホンマのサマン博士か?元の博士は死んで元の博士のコピーとかじゃないよな?」