タルパ戦争 File28 姉妹の再会
ガトー公国首都、ウィルクス市⋯⋯
人口は現実世界の東京都と同じ1400万人弱。
ドイツのフランクフルトを模したような感じのする⋯⋯典型的なゲルマン文化風の街並みをした都市だった。
当然、ガトー公国の多くの政府機関も集まっており、国防省や軍関係の施設がその最多となっていた。
国防省の一室で、二人の幼女姉妹が久々に対面する⋯⋯
「おう、C子!元気やったか!」
「B姉も元気そうで何よりや!」
そう⋯⋯B子とC子である。二人とも、今はダイブ界、トトバースでの生活が中心となっている。
「久々の対面に水を差すようで申し訳ないが⋯早速、本題に入りたい」
トゥコ・サマン博士も同席していた⋯⋯
彼以外にも海軍作戦本部の士官、軍の研究本部の技官らもいた。
「はまぐりのエンジンを換装させる?」
「現在のタルパニウム原子炉による機関システムを、次元航行を可能にしたウンコニウム核融合炉へ換装させます」
「でっていう」
「⋯⋯それ古いですよ。もう死語ですよ。それ」
C子の思わぬツッコミに対して⋯⋯少しだけ大人げない反応を見せるサマン博士。眼鏡の位置を直し、再び説明に入る。
博士曰く⋯⋯
早い話、時空を飛び越えて、現実世界の海も航行できるエンジンを搭載するとの話だった。
これに対してC子は目を細める⋯⋯
「ホンマにそれ実現可能なんか?正直、信じられへんな」
「C子よ。それがホンマにできるんや!しかも、好きな時代に飛べる。タイムマシンにもなる!航空隊で試作機が完成しとる。うちがそれを操縦した!」
B子がC子の疑問に対して答える。
「何!?それホンマか??」
「ホンマや!先日もタルパ戦争を調査するため、10年前の現実世界を偵察した。厳密には遠隔操作の無人偵察機になるがな」
「B姉⋯⋯生身の人間が乗った状態ではどうなんや?大丈夫なんか?」
これに対してサマン博士が答える⋯⋯
「それには心配に及びません。すでに私が自分の体を使って試しました」
会議室内にいた一同がドン引きする。
そして、C子がつぶやく。
「お前、ホンマのサマン博士か?元の博士は死んで元の博士のコピーとかじゃないよな?」