タルパ戦争 File24 京都の夜
下りバトルで負けたことが、悔しかった訳ではない⋯⋯
レゴは帰宅すると、すぐに風呂を済ませ、布団の中に入った。しかし、なかなか寝付くことができないでいた。あのオープンカーを運転していた、青年の最後の言葉が妙に気になっていた。
「挨拶って⋯⋯いったい、どういう意味だ?」
しかし⋯⋯
考えても致し方ない。
とにかく、明日の朝に備えて眠ろう。そう自分に言い聞かせた。
:
一方、浮島の方は⋯⋯
許嫁の女性と悦楽の時を楽しんでいた。
「久々じゃの?この時を待ち侘びておったぞ」
「ううううう!あああああ!えええええ!おおおおお!」
浮島が変な声を出す。
「なんじゃ?物足りないか?なら⋯⋯」
「がああああああ!ごおおおおおお!どおおおおおお!」
浮島が歯をガタガタ震わせながら発狂する。
「こうはどうじゃ?」
「〇☆▽卍◎×◆〇☆▽卍◎×◆!?」
浮島は⋯⋯
もはや、自分でも何を言っているのか分からない言葉を発する。
許嫁との二人だけの密室空間で⋯⋯
まるで生気を絞り取られ続けるような⋯⋯
そんな状況が続いていた。
浮島は身長175cmの爽やかなイケメンで、テニスやバスケも楽しむスポーツ万能青年でもあった。
そんな浮島は今は涎を垂らし、新橋系のおっさんと化していた。
こんな姿⋯⋯
誰にも見せられない。
SAN値はもはやゼロに等しい。
:
その時、都内在住の木口も、大きな異変に見舞われた⋯⋯
眠りの就こうとした瞬間、突然、部屋の中にある物がすべて動き出したのだ。
「なんだ!!地震か!?まさか!?これはポルターガイスト??」
驚き慌てふためく木口⋯⋯
机や本段、椅子などがガタガタ揺れ動き、すべての家具が大きくズレ動いたのだ。しかし、それはわずか数秒程度の出来事に終わった。
直後、スマホに妹、明美からのメールが届いていることに気づいた。
木口が恐る恐るメールを見る⋯⋯
「浮気は許さない⋯⋯お兄ちゃんは私のもの⋯⋯まさか、今のは明美の仕業か!?」
顔面蒼白状態で、すべての家具の配置を元に位置に戻す木口⋯⋯