第92話 403エラー
千夏の憂さ晴らしは続いていた⋯⋯
森蘭丸になりきって、巨大掲示板「たらばがに」オカルト板へ⋯⋯本当にどうしようもない投稿を続けていた。
「次は危険度リストの貼り付けじゃ」
何が彼女をこのような行為に駆り立てるのか?
しかし、その理由は彼女自身でも、あまりよくわかっていなかった。ただ、楽しくやっているブログやSNSが許せなかった。
タルパと惚気るな⋯⋯
それが彼女のモットーだった。
そして、再び、オカルトブログ「運光の法力」へアクセスして、記事の更新状況を確認する。
「こいつ、まだタルパと惚気てやがる!絶対にやめさせてやる!」
ただ⋯⋯
会話ログの新着記事がアップされていただけである。
会話ログとは⋯⋯
タルパとの対話の様子を記録したもので、自動化のための典型的な訓練法でもあった。また、その会話の内容は、多くの場合、何気ない日常生活に関する事柄、タルパ育成に関するものばかりであった。
とにかく、千夏にはそれが癪にさわるものらしい⋯⋯
「ワタシノフスキーは惚気をやめろ!消えろ!」
千夏はぶっちょ面でスマホ画面を睨みながら掲示板に書き込んだ。そして、再び、運光の法力へアクセスして反応を見てみることにする。
「あれ?403 Forbidden?なんだコレ?」
千夏はブラウザの画面を何度も再読み込みしてみる⋯⋯そして、千夏はベットから立ち上がり、スマホを振り始める。
興覚めでもするように、森蘭丸から本人へ人格が戻る。
「スマホが壊れた?でも、電話は通じそう」
千夏は何を思ったのかサポートへ問い合わせをしようと電話をかける。
:
関東の某県某市⋯⋯
「てっちん!やったな!」
「ああ、これでバギーさんはオレのブログは見れない」
「利用しているWiFiスポットも割り出したし、これでガチで会いに行けるな」
「いや、オレは直接いかないよ。追々、知り合いの業者に頼むわ」
「そう言えば、C子から連絡あったぞ」
「そう言えば⋯⋯C子、今回はえらい長い航海をしているようだな。ダイブ界では忙しそうだな」
ワタシノフスキーと二人の幼女タルパA子、B子との奇妙な会話が続く。