第64話 変遷型タルパ
エシャロットとの出会いは⋯⋯
穂都の場合、幼い頃までに遡る。
エシャロットは⋯⋯いわゆる、イマジナリーフレンドである。通常、イマジナリーフレンドは学齢期に入ると自然消失するものであるが⋯⋯エシャロットの場合、なぜかそうはならず、現在までに至る。
まぁ、そんな話はともかく⋯⋯
穂都は中学生の頃、タルパなるものを知り、エシャロットが消失を免れたのは、変遷型タルパに変わったためだからと考えるようになった。
ただ、その後⋯⋯
青森県へ旅行に赴いた際、興味本位で恐山のイタコに見てもらったところ、エシャロットの正体は、イマジナリーフレンドなどではなく、不成仏霊との指摘を受けたことがあった。
しかし、穂都にはそんなことはどうでもよかった。
出自がイマジナリーフレンドであれ、誰かの霊魂であれ⋯⋯今は、タルパとしてのエシャロットだ。
昭和の不良女子高生⋯⋯スケバンの姿をしたタルパなのだが、根は優しく穂都のためなら何でもやろうとした。
「エシャロット⋯⋯私の気持ちを理解してくれるのはエシャロットだけだわ」
穂都は甘えるようにエシャロットのすり寄る。
「穂都、この先、何があっても大丈夫だよ。あたいがいるからね!」
「エシャロットは⋯⋯ほんと、前世は何をしていたの?」
「さぁね。あたいも忘れちまった。何をしていたのか覚えていないんだ」
エシャロットは穂都を強く抱きしめる⋯⋯
「ただ⋯⋯野郎二人に⋯⋯愛されていたような記憶だけはあるんだ」
「そっか、唯一の⋯⋯大切な思い出だね」
「そうだね」
次の瞬間である⋯⋯
エシャロットの両眼が赤く光る。
「どうしたの!エシャロット!」
「こいつはすごい!すごい霊能力を持ったヤツが接近中だ!」
怯える穂都⋯⋯
「大丈夫だよ!あたいが守るから!」
しかし、かく言うエシャロットも、内心は不安でいっぱいになっていた。自分たちのいる町内に、強力な霊能力を持った者が接近していたのだ。
「まるで、陰陽師⋯⋯のようだね」
そう⋯⋯浮島が池袋駅前に到着していたのだ。
そして、その浮島を尾行する謎の男もいた。男の名は更梨(さらなし)。警視庁公安部の警察官である。