第20話 幼馴染の秘密
遠井穂都は夕菜の近所に住む幼馴染で、幼稚園から中学校まで一緒に過ごして来た⋯⋯姉妹のように仲の良い間柄だった。
穂都は文京区にある私立高校へ進学したため、高校は別々となったが、中学を卒業してからも交流は続いていた。
「夕菜ちゃん、期末テストどうだった?」
「そりゃもうばっちグーよ!!」
「夕菜ちゃんはここ目指しているから⋯勉強頑張ってるよね」
二人は立教大学の正門前にいた。
夕菜は一見すると⋯⋯
占いやオカルト趣味に埋没して遊んでばかりに見えるが⋯⋯まぁ、勉強はそこそこできた。良くも悪くも⋯⋯変な意味で⋯⋯
大変要領の良い女の子だった。
とりあえず、期末テストから解放され、久々に会う二人⋯
「今日はどこ行こっか?」
夕菜がそう切り出すと、穂都は表情をにんまりとさせ、サンシャイン水族館のチケット二枚を見せびらかして来た。
「お父さんの知り合いから貰ったんよ!!」
それを見て目を輝かせる夕菜⋯⋯
そんな訳で、夕菜と穂都は水族館に行くこととなった。
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水族館に辿り着くと、夏休み直前ともあり、普段よりも少し混雑はしていたが⋯⋯じっくり、二人きりで話をしながら歩き回るには十分だった。
この遠井穂都⋯⋯
彼女も風変わりな性格をしており、それ故に夕菜とも気が合っていた。夕菜は思い切って、これを機会に⋯⋯
これまでの件も相談しようと考えていた。
実は、穂都にはイマジナリーフレンドと呼ばれる存在がおり、それは夕菜との二人だけの秘密とされていた。
しかし⋯⋯
本館一階の巨大水槽を目の前にすると、穂都は目を輝かせ、回遊する色とりどりの美しい魚たちを見つめ続けた。夕菜は穂都の横顔を見て、今その話をするのは無粋だと悟り、最後まで一緒に水族館の見学を楽しむことにした。
「ペンギンさん!!可愛かったね!!」
穂都が子供のように無邪気にはしゃぎ、この後、ファミレスへ行こうと言う話になった。
二人がテーブルに着くと⋯⋯夕菜は恐る恐る話を切り出してみた。
「ねぇ、タルパって知ってる?」
直後、穂都の顔が硬直する。
やっぱり、やめておけば良かったかなと⋯⋯後悔する夕菜⋯⋯