正しいタルパの作り方

投稿日 2023.12.09 更新日 2024.03.09

 この物語は⋯⋯

 ある女子高生の身に起きた、壮大なオカルトファンタジーになる。

 とりあえず、話を進める前に⋯⋯

 予備知識として「タルパの作り方」について、詳しく説明しておきたい。タルパとはチベット語で化身を意味し、精神を集中させることで作り上げる架空の命となる。エア友達に思えなくもないが⋯⋯似て非なるものとなる。

 まるで、本当に生きている存在であるかの域までやり込むのだ。目で見えるようになるし、声も聞こえ、会話することすら可能となる。

 ぶっちゃけ、統合失調症の幻覚や幻聴とほとんど変わらないため、作り方に失敗すると⋯⋯

 精神病院送りとなるのは必至である。

 元々は、師資相承な世界で知られるチベット密教の秘奥義であり、チベット密教の僧侶が厳しい修行を経て初めて成せる技となる。チベット密教の教えを知らずして、タルパを作り出すことはできない。

 しかし⋯⋯

 20年くらい前になるだろうか、某オカルト雑誌で取り上げられたのをきっかけに、一部のオカルトマニアで密かに流行り出した。

 もちろん、本物のチベット密教のタルパを、雑誌で紹介されていた程度の内容で作れる訳がない。このため、瞑想を基本に西洋魔術やヨガなどの技で補完された、日本独自のタルパ、いわゆる「ネットタルパ」が編み出された。

 その具体的な手順は以下の通りとなる⋯

1.自分が欲するタルパの容姿と性格を考える。

2.気でタルパの器(体に相当)を作る。

3.それを目で見えるよう視覚化の訓練を行う。

4.会話できるようにするため自動化の訓練を行う。

 手順4まで成功したら、タルパが本当に生きている存在であるかのように動き出し、まるで本物の人間と会話しているような意思疎通が可能となる。

 訓練は瞑想しながらのものとなり、人によって手順3と4が前後する場合がある。実際の手順はもっと複雑で、訓練自体にもいろいろ種類がある。さらに、詳しい情報が知りたければ、こちらの記事をどうぞ。

 しかし、瞑想以外で⋯⋯ダイブや明晰夢、幽体離脱などの技を使い、タルパと出会う方法を編み出した者が現れた。

 伝説の天才タルパー、浮き輪の登場である。

 こうして⋯⋯タルパの世界に、新しい風が吹き込まれたのである。