第34話 謎の女性占い師

投稿日 2023.07.21 更新日 2023.07.21

ただし、一包だけが販売条件だった
持続時間は推定30分
念のため安全な場所で飲むことを注意された
本当はたくさん欲しかったのだが⋯
もう帰りのバスの時刻が迫って来たので
岩凪はすぐに承諾して支払いを済ませることにした
「こんな妙な薬⋯久々に作ったよ」
湯世林いわく。この薬局では⋯
これからユセリアに渡る貿易商人相手に
笑わなくなる薬を調合、販売することがほとんどだそうだ
ユセリアでの滞在予定期間や
体格や性格などに合わせたものを
個別に調合するそうだ
それにしても⋯
笑ったら死刑は理不尽過ぎる
今さらながら強い疑問を感じ始めて来たが
岩凪にはもはやどうでもいい話である
湯世林に別れを告げるとバスターミナルへ急いだ
帰りのバスも満席状態だった
今度は謎めいた若い女性が隣の席に座って来た
風貌からまるで占い師を思わせ
えらい美女だった
ちょっと緊張する岩凪⋯窓側の席に座っていたため
窓の外へ顔を向けそのままの姿勢を維持した
間もなくバスは出発して動き出す
ピータン王国は山岳国家である⋯そのため、トンネルの数はやたら多い
出発するとすぐに一つ目のトンネルに差しかかった
トンネルに入った瞬間である
窓に背後から自分を睨みつける女性の顔がドアップに映し出され
猛烈に驚く岩凪