第33話 天才薬剤師の調合

投稿日 2023.07.17 更新日 2023.07.21

岩凪は書き終えたものを湯世林に見せるとこう言った
「効果が強過ぎるので⋯先生の腕ならどうにかなりますか?」
「これは⋯」
岩凪の書いた化学式を
食い入るように見つめる湯世林
「幻覚作用のあるものだね⋯中毒性はない。しかし⋯」
「ええ、自分はコレが原因で死にました」
「・・・」
しばらく、妙な沈黙の時が続いた後
岩凪は湯世林から尋ねられた
「まさか、コレを飲んだ状態で外を出歩いた?」
「ええ、踏切にいることに気づかず、電車にはねられて死にました」
「・・・」
しばらく妙な沈黙の時が続く
「うーん、また試したいの?何を見たいの?可愛い女の子とか?」
「え!!なんでわかったんですか!!」
「いや!!可愛い女の子は冗談だよ!!冗談!!」
直後、赤面する岩凪⋯
湯世林は立ち上がると、そのまま調剤室へ入って行った
調剤室はガラス張りであったため中での作業の様子を見ることができた
やはり⋯異世界たるデスタウンの漢方薬剤師のやり方だろうか⋯
自分が生きていた頃のものとは明らかに違った
見たこともない怪しげな薬草も
瓶の中に放り込まれ
時々、毒々しい紫色をした煙が噴き出す様子も確認できた
10分くらい待たされただろうか⋯
粉末状に調合されたものを持って出て来た
「これなら酔っ払ったおっさんのように前後不覚になることはないよ」
「えっ!!もう完成したんですか!?」
「あたぼーよ!!俺はデスタウン一の天才薬剤師だぜ!!」