なんかの予告編?エルフの美少女パイロットに惚れて
ここはガトー公国の首都、ウィルクス中央官庁街⋯⋯
日夜、多くの官僚たちが働く不夜城の街だ。議会の会期中ともなれば、背広組は多忙を極める。
そう、制服組のB子中佐とポクシー大尉は暇を持て余していた。
トゥコ・サマン博士が開発した無人偵察機UAV⋯⋯と言うよりは、タイムマシンを⋯⋯試験運用の名の元、自由に使って遊び続けていた。
「大尉、そう言えば⋯⋯先日からだいぶ浮かない顔をしておるが、何か思うところ、ひっかかるもんあったか?」
「いや⋯⋯こないだ見た未来の俺らの基地⋯⋯あの娘⋯⋯どっかで会っている気がするんだ。思い出せない⋯⋯」
「エルフの美少女パイロットに一目ぼれしたんかwww」
「いや!ちがうんだ!なんか⋯⋯こう、全身を雷で撃たれたような⋯⋯」
「やっぱ一目惚れやんwww」
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これは比較的近い未来のトトバースでのお話⋯⋯
ガトー公国の首都ウィルクスの郊外にある閑静な住宅街で、親子三人仲睦まじく暮らしている家が⋯⋯ぜんぜん、ありませんでした。
その日は朝から母と娘がケンカを始めます。
「普通の大学に行きなさい!将来は学校の先生になりなさい!」
「私はいや!もう枝豆島(士官学校)に行くって決めたの!」
この母と娘は伊達なエルフでないだけあり⋯⋯
魔法による火花を散らせる。両者、両手を掴み合い、額と額を当てて押し合う。毎日、こうしたケンカをしていたのだ。
そこへ人間の父が起きて来た。
「ふわぁあああ~おはよう的、今日も朝からケンカ的ぃ。近所迷惑だからやめる的ぃ。ああ、今日も朝食のパンが黒焦げ的ぃ⋯⋯」
父は魔法で焼け焦げた部分をそぎ落とし、パンを口の中へ頬張る。
この人間の父は娘の希望に賛成だった。しかし、母の娘の将来を案じる気持ちも強かった。
「ほら、遅刻しちゃう的!もう、いい加減にして的!」
トボッチは怒りながら家を出てスクールバスの停留所へ向かう。来年にもハイスクールを卒業予定だ。
母も怒り心頭でキッチンでガチャガチャ大きな音を立てながら食器を洗う。
「母さん⋯⋯もう、許してあげよう的」
「私は絶対に反対ですからね!」
人間の父は眉をハの字にして困り果てる⋯⋯