タルパ戦争 File61 妖刀
浮島は京都の実家へ電話するもまったく繋がらない。
「おかしい⋯⋯今の時間帯ならいるはずだが⋯⋯」
ただならぬ不安感に襲われる。
一方、その頃⋯⋯
浮島の父は怒り狂い、奥の座敷から床の間に置いてあった日本刀を持ち出して来た。ただの日本刀ではない⋯⋯
戦国時代、多くの生き血を吸った曰く付きの妖刀である。
「神聖なる神社に大砲を向けるとは何事だ!」
浮島の父は⋯⋯
目を赤く光らせ、その姿は剣を携えたキング・ブラッドレイを思わせるものと化していた。
次の瞬間、浮島の父は日本刀を抜くと、外へ勢い良く飛び出した。
「次弾装填!」
兜海老が装填手にそう命令を下した瞬間⋯⋯
主砲の砲身が半分に切断された。
「何っ!?」
そして、覗き窓に日本刀を勢いよく刺し込んで来た。
日本刀は運転手の頬をかすめ、小さな傷から血がたらりと流れる。運転手は完全に凍り付き、その場で失禁をした。
「おい!ぽまえら!何をしている!しっかりしろ!とりあえず後退だ!バックしろ!バック!」
兜海老が車内に向かってそう叫んだ瞬間⋯⋯
目の前に浮島の父が立っていた。砲塔の上に立ち、睨むように兜海老を見下ろしていた。そして、日本刀を兜海老の鼻先に向ける。
月の光が浮島の父の顔を不気味照らす。
「おい、お前!生垣を壊したな。弁償してもらうぞ!」
「は、はい。すみません。いいい、いくらでしょうか?」
兜海老は震える手で懐から財布を取り出す。
「その前にお仕置きである!」
浮島の父は日本刀を鞘に納め、両手をポキポキを鳴らし始める。
そして、サンドバンクか水袋でも叩くような⋯⋯
激しい殴打音が鳴り響く。
その時、浮島の母が電話が鳴っていることに気づき、慌てて出る。
「譲司?譲司なの?ごめん、ちょっと⋯⋯説明しづらい状態なんやけど、えらい大変な騒ぎなって。今、お父さんが怒り狂って戦車を三枚におろしている!」
浮島の母は気が動転して⋯⋯
自分でも何を言っているのかわからない状態となっていた。レゴは鏡月を介抱しながら、その様子を眺めていた。
ボコボコにされた兜海老らは⋯⋯境内で正座をさせられる。