タルパ戦争 File26 無人偵察機
今から十数年後の世界⋯⋯
厳密には⋯⋯
タルパ戦争に魅了された、とある占い師の作ったダイブ界でのお話。
「うんしょ、よいしょ」
遠隔コントロールシステムを操作する一人の幼女がいた。まるで⋯⋯無人偵察機、グローバルホークでも操縦しているかの様子だった。
「B子中佐!そろそろ制限時間です!」
「せやな!そろそろ時間やな⋯⋯撤収の準備を始める。てか、これ⋯⋯操縦が難しいな。もっと改良できんのか?」
「今はその分析も兼ねた運用ですよ。少し我慢してください」
「そっか、そうだったな」
そう⋯⋯
ここはガトー公国。
ガトー公国国防省の一室に設けられた⋯⋯無人偵察機のオペレーションルームだった。
しかし、B子はただの無人偵察機を操縦していた訳ではなかった。
「てっちんのタルパ戦争に対する思いは強いのだ!徹底的に調査するのだ!」
B子はそう活きる。
「博士、見ろ⋯⋯あいつ、拍子抜けした表情しとる」
「B子中佐!今すぐにテレポート操作して、彼の目の前から機体を隠してください!やばい!こっちを見てる!目撃されている!」
「なら、前の日に同じことしたで」
「えっ?」
「目の前でジグザクに飛んで見せて驚かせてやったわ!」
「ダメですよ!見せびらかしちゃ!」
「別にこのくらい問題ないやろ。どうせUFOか何かと思ってるやろ」
「でも⋯⋯」
「まさか10年後のトトバースから飛来して来ている無人偵察機とは思わんやろ。サマン博士はホンマ真面目やな」
そう⋯⋯
B子が操縦していた無人偵察機はタイムマシンでもあったのだ。
そして、B子と会話していたのは⋯⋯
民間軍事企業ティグアラーシーテクノロジーズの技術者で、B子が操縦している無人偵察機を開発したトゥコ・サマン博士だった。
今、タルパ戦争の真相を確かめるべく⋯⋯
タルパ戦争が起きた年、10数年前の現実世界に無人偵察機を送り込み、情報収集活動を行っていたのだ。
サマン博士はあごに手を当て、考え事をする⋯⋯
「試験的に金だらい2個飛ばしたが⋯⋯操縦電波のアップリンクを利用した量子分解/量子結合による物質搬送も行えるようだな」