タルパ戦争 File24 京都の夜

投稿日 2024.06.10 更新日 2024.06.10

 下りバトルで負けたことが、悔しかった訳ではない⋯⋯

 レゴは帰宅すると、すぐに風呂を済ませ、布団の中に入った。しかし、なかなか寝付くことができないでいた。あのオープンカーを運転していた、青年の最後の言葉が妙に気になっていた。

「挨拶って⋯⋯いったい、どういう意味だ?」

 しかし⋯⋯

 考えても致し方ない。

 とにかく、明日の朝に備えて眠ろう。そう自分に言い聞かせた。

    :

 一方、浮島の方は⋯⋯

 許嫁の女性と悦楽の時を楽しんでいた。

「久々じゃの?この時を待ち侘びておったぞ」

「ううううう!あああああ!えええええ!おおおおお!」

 浮島が変な声を出す。

「なんじゃ?物足りないか?なら⋯⋯」

「がああああああ!ごおおおおおお!どおおおおおお!」

 浮島が歯をガタガタ震わせながら発狂する。

「こうはどうじゃ?」

「〇☆▽卍◎×◆〇☆▽卍◎×◆!?」

 浮島は⋯⋯

 もはや、自分でも何を言っているのか分からない言葉を発する。

 許嫁との二人だけの密室空間で⋯⋯

 まるで生気を絞り取られ続けるような⋯⋯

 そんな状況が続いていた。

 浮島は身長175cmの爽やかなイケメンで、テニスやバスケも楽しむスポーツ万能青年でもあった。

 そんな浮島は今は涎を垂らし、新橋系のおっさんと化していた。

 こんな姿⋯⋯

 誰にも見せられない。

 SAN値はもはやゼロに等しい。

    :

 その時、都内在住の木口も、大きな異変に見舞われた⋯⋯

 眠りの就こうとした瞬間、突然、部屋の中にある物がすべて動き出したのだ。

「なんだ!!地震か!?まさか!?これはポルターガイスト??」

 驚き慌てふためく木口⋯⋯

 机や本段、椅子などがガタガタ揺れ動き、すべての家具が大きくズレ動いたのだ。しかし、それはわずか数秒程度の出来事に終わった。

 直後、スマホに妹、明美からのメールが届いていることに気づいた。

 木口が恐る恐るメールを見る⋯⋯

「浮気は許さない⋯⋯お兄ちゃんは私のもの⋯⋯まさか、今のは明美の仕業か!?」

 顔面蒼白状態で、すべての家具の配置を元に位置に戻す木口⋯⋯