タルパ戦争 File22 兄と妹の怪しい関係
木口は日がな週末を自宅で過ごしていた。
リビングでソファに座り、デーゲームのテレビ中継を漫然と見つめ観戦していた。時折、缶ビールに口を付けては、溜息を繰り返す⋯⋯
今週末は⋯⋯
急遽、木口の自宅に住み着いている座敷わらしを調査するため、浮島が訪問して来たのだが⋯⋯
家庭内の思わぬ裏事情まで看破されてしまった。
浮島は親友であり、口の堅い男なので心配は無用であるが⋯⋯理解を示された事が逆に心苦しく覚えた。
木口は、実の妹と⋯⋯いや、なんでもない。
それにしても⋯⋯
本当になぜ、座敷わらしなのか疑問は深まるばかりだった。スマホを手に取り、たらばがにのオカルト板をチェックする。
その時、浮島からのメール着信に気づいた。
「浮島さん⋯⋯なるほど、今週末は京都の実家で過ごすんだ⋯⋯」
さらにその直後である⋯⋯
突然、電話が着信する。電話番号を見ると+1、米国からのものだった。
「なんだろう、親父からかな?はい、もしもし?」
《お兄ちゃん?元気?》
「⋯⋯なんだ、明美か⋯⋯どうした?そっちは深夜だろう?」
《週末はいつも夜更かししてるよ》
「父さんと母さん、元気か?」
《元気だよ。ところで、今週末⋯⋯誰かそっちの家にやって来た?》
「⋯⋯な、なんだ急に?」
《女の人じゃないよね?》
「違う!大学のサークル仲間だ!俺の親友だ!」
《やっぱり⋯⋯誰か来たのね。赤い着物を着た子⋯⋯絶対に手を出さないね》
「なっ!?それは一体どういう意味だ!」
《お兄ちゃん⋯⋯いつから霊能力に目覚めたの?》
「なっ!?なんで⋯⋯なんで、そんなことが分かる!?お前??」
《私はずっとお兄ちゃんのことを見てますからね》
「大学に入学してから⋯⋯霊能力を持った先輩の指南で⋯⋯開花した。お前は霊能者だったのか?」
《正確には超能力者かも⋯⋯サイコキネシスによる物理干渉も可能よ》
「ずっと隠していたのか⋯⋯」
《今後は私を甘くみないことね。お兄ちゃんより強いかも。じゃ》
ガチャ☆ツーツー
妹からの突然の国際電話であった⋯⋯心変わりしていただろうと考えていたが⋯⋯その考えは甘かった。