Episode 06 海外派兵
ここはヲティスタン共和国南部にある港湾都市、カネガネグラ⋯⋯
そこへ一隻の空母が入港する。
爆弾テロにより政府首脳陣の多くが失われ、国内は徐々に混乱状態に陥り始めていた。ヲティスレ軍が各地で勢力を伸ばし始め、政府軍・警察による封じ込めに失敗した様相を呈し始めてもいた。
これを見兼ねたNATTO加盟国が、ヲティスタン共和国の派兵要請に応じる形となった。
飛行甲板の端っこに座り、海面を見つめ続ける少女がいた。見た目は幼女であるが⋯⋯肩章から中佐である様子が伺えた。
「C子は今頃⋯⋯惚気島で作戦行動中か」
彼女の名は⋯⋯
タルパ界隈の問題児の一人として知られていたB子だった。
「今頃、スカイポンチ(AWACS)も到着しておるやろか⋯⋯あんなデカいもん空母では運べんからな」
カネガネグラの郊外にNATTOの合同空軍基地が整備されており、そこへB子が乗る予定の機体(E-767)が先に到着している予定だった。
空中管制指揮官は⋯⋯
何かと骨の折れる仕事だった。
わがままでプライドだけが肥大化したガ島のパイロットたちを束ねるのは本当に苦労する。
よく手が滑ったと言い訳をして⋯⋯
命令違反を平気でする。
B子は船上からカネガネグラの街並みに目をやる。
「名物のカネガネグラ大仏はどこにおるんやろか?どこにも見えんぞ」
深いため息をつくB子⋯⋯
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岸壁沿いの古アパートの一室から⋯⋯
入港する空母を見つめ続けていた女性がいた。
日本刀を手に取ると、抜刀術のような立ち振る舞いで素早く引き抜き、剣先を空母に向けた。
「まずは⋯⋯トットフォー様への報告ね」
彼女の名は⋯⋯
本名はセナツと言うらしいが⋯⋯
アルミホイルのお面を被ると、ラ・プラスヨと名乗っていた。
部屋の奥⋯⋯セナツの後ろにもう一人いた。
武士の姿をした青年である。
「信長様の夢見た世界はここで実現する⋯⋯セナツよ!共に夢の世界を実現しようではないか!」
セナツはにっこりと微笑みながら森蘭丸に近づくと⋯⋯
二人は強く抱きしめ合った。
「地獄へ堕ちる時は一緒よ!いいわね!蘭丸」