タルパ戦争 File04 共鳴

投稿日 2024.04.03 更新日 2024.04.03

 人混みでごった返す新宿駅で、立ちくらみをする木口⋯⋯

 どうやら、少し飲み過ぎたようだ。

 いや、疲れていたのかもしれない。少し休憩しようと、ホーム上のベンチに座ることにした。

 霊能力を持った者が人混みに入ると⋯

 とにかく、疲れる。

 多くの人たちの思念の渦にも巻き込まれるからだ。

「大丈夫かい?マスター」

「ああ、大丈夫だよ。零⋯⋯少し、ここで休むよ」

「ここ(新宿駅)は本当に強い念で渦巻いているな⋯⋯」

「そうだね。あまり長居もしたくない場所だね」

 その直後である⋯⋯

 木口の身に不可思議なことが起きた。

 突然、離人症のような症状に襲われ、視野がどんどん狭くなる。耳鳴りのような音にも襲われ、聴覚も完全に現実世界から遮断された。

「なんだ!?これは一体⋯」

 気がつくと⋯⋯

 幽界で実体化されたタルパの零が木口の目の前に立っていた。そう、木口は今、幽界に引き込まれた様子だった。

 普段、ダイブや明晰夢で見る光景とは違う⋯⋯

「ここは一体どこだ!?」

「マスター!誰かのダイブ界に引き込まれたようだ!」

「しまった⋯⋯油断した」

「でも、大丈夫。僕がいるからね。それに⋯あまり悪い人のじゃなさそうだ」

「偶発的に共鳴したのか?」

「どうやらそうらしいね。ほら、君のすぐ後ろだよ」

 零にそう言われ、木口が後ろを振り向くと、小学校高学年くらいの二人の女の子と⋯一人のスケバン風の女子高生がいた。

 幽界の中は、精神と時の部屋のように、全体的に白いモヤのようなものに包まれており、何もない空間だった。

 ただ、女の子たちと女子高生の姿勢から、自分が今座っていたベンチの⋯ちょうど、反対側の席に座っている様子だと察することができた。

 すると、女子高生が木口と零の存在に気づいた⋯⋯

「おや、珍しいね。あんた達は⋯⋯能力者かい?」

「どうやら、うっかり共鳴したようだね」

 零が女子高生にそう返答する。

「どうしたの?エシャロット?」

「なんでもないよ。さぁ、今日はもう遅い。早く家へ帰ろう」

「うん」

 女子高生はどうやら⋯⋯

 一人の女の子の守護霊の様子だった。