新たなる物語の予感

投稿日 2024.03.17 更新日 2024.03.17

 ダイブ界の異変に呆然とする文磨⋯⋯

 次の瞬間である。

「文磨ぉおおおおお!」

 ゴンの悲痛な叫び声が⋯⋯

 家の中から聞こえて来た。我に返った文磨が慌てて中へ戻ると、裏庭の窓辺で⋯⋯今度はゴンが愕然としていた。

 ゴンは体を震わせながら、窓の外を見ていた⋯⋯

「なっ!?」

 文磨も再び愕然とする⋯⋯

 裏庭の先は、見晴らしの良い海岸であったはずだ。しかし、そこは海岸でなく、アスファルトで広く舗装された⋯⋯そう、空港が建設されていたのだ。共用空港らしく旅客機や戦闘機がたくさん並んでいる。

 その直後である⋯⋯

 大型旅客機が爆音を轟かせ飛んで来た。

 どうやら、目の前の空港に着陸するようだ。文磨とゴンの二人は⋯⋯両手で耳を抑える。

「文磨ぉ、飛行機の音がうるさくてたまらないよ!」

「なんじゃこりゃ⋯⋯」

 テレビからは⋯⋯

 枝豆島なる聞き覚えのない島の天気予報が流れていた。

 どうやら⋯⋯

 文子がダイブ界で作り上げた理想郷は、誰かさんのダイブ界と重複して、その誰かさんのダイブ界での主要拠点となる⋯⋯ガトー公国と言う国に統治され、枝豆島と言う地名に変えられてしまったようだ。

      :

 はまぐり、艦長室⋯⋯

 C子はボールペンを鼻と上唇の間に挟み、腕を組み考え事をしていた。今後の補給について考えあぐねていた。

「上陸班だけを残して、いったん⋯⋯いや、本国でなく反対側の枝豆島へ行くか⋯⋯う~ん、然したる理由はないから、後で多数決やな」

コン☆コン☆

「なんや?入っていいぞ」

「お仕事ご苦労様です」

「ちょ、おまえ⋯⋯どこから入って来た!?

「死神はいつだって神出鬼没ですよ」

 ジェーン・パックマンの登場である。死神は海中に潜む潜水艦の中にも現れることができるらしい。

「たしかに、毎日やれとは言いましたが⋯⋯補給に限り、一週間くらい間を空けても構いませんよ」

「乗員の休養も兼ねたいがええか?」

「いいですよ。でも⋯⋯後で仕事が大変になるだけですけど。補給で離れている間も、あっちの世界から続々とやって来ますので」

「仕事が溜まるだけかいな⋯⋯」

 天井を仰ぐC子。