第98話 仕事を奪われた死神

投稿日 2024.03.16 更新日 2024.03.16

 ジェーン・パックマンが、再び同じ場所にやって来た⋯⋯

「約束の時間なのに⋯⋯いないですね」

 パックマンはあたりを見渡し、エシャロットの念を確認する。そして、すぐに感知することができた。

 しかし、それは意外な場所⋯⋯いや、物から発せられていた。

「人形から?」

 それはどうやら、すぐ真下の様子だった。パックマンはそのままの姿勢で屋根を通り抜け、穂都の部屋に入り込んだ。

「おやおや、マスターさんは随分とぐっすり眠っているようですね」

 パックマンは本棚に置かれた人形の前へ移動すると、人形の眼を凝視し始めた。瞳の奥には⋯⋯日本から遠く離れた地にいる、エシャロットの姿が映し出されていた。寺院らしき建物の中で、高僧と思しき人物と話し込んでいた。

「これは、一体⋯⋯」

 困惑するパックマン⋯⋯

 次の瞬間、青年僧侶の顔面ドアップに視界を遮られる。

「うわ!」

 青年僧侶の鋭い眼光が、パックマンの頭を突き抜けるように⋯⋯痛く差し込んで来た。慌てて目を逸らすパックマン⋯⋯

「今日はひとまず退散します。死神の仕事を邪魔する者は⋯⋯後できっちり落とし前を付けさせてもらいますからね」

 パックマンはその場から姿を消し、あっち側の世界へ帰って行った。

       :

「こちら側を遠視していた者がいたようなので撃退したぞ」

「相手は中国か?」

「いや⋯⋯相手は死神だな。あんたがそいつを横取りしたからじゃないか?」

 コラパップとタイラーのぶっきらぼうな対話が続く。それを横で困惑気味な表情で聞いているエシャロット⋯⋯

「あたいはこれから⋯⋯ダイブ界へ行くんだね」

「そうじゃ。基本的にダイブ界での作戦行動となる。まぁ、たまにあの人形を通じて、あの子へ会いに行っても良いぞ」

「ぜんぜん、気づいてもらえなかったけど。一体、どういうことだい?」

「そのうち、気づいてもらえるようになる。あと、言い忘れておったが⋯⋯これもそのうち、夢の中でも合えるぞ」

「夢の中?夢の中でも合えるようになるのかい?」

「ああ、そのうち、いろいろ解かって来るようになる」

 コラパップはエシャロットの質問に対して⋯⋯

 ただ、意味深に答えるだけだった。