第92話 403エラー

投稿日 2024.03.07 更新日 2024.03.07

 千夏の憂さ晴らしは続いていた⋯⋯

 森蘭丸になりきって、巨大掲示板「たらばがに」オカルト板へ⋯⋯本当にどうしようもない投稿を続けていた。

「次は危険度リストの貼り付けじゃ」

 何が彼女をこのような行為に駆り立てるのか?

 しかし、その理由は彼女自身でも、あまりよくわかっていなかった。ただ、楽しくやっているブログやSNSが許せなかった。

 タルパと惚気るな⋯⋯

 それが彼女のモットーだった。

 そして、再び、オカルトブログ「運光の法力」へアクセスして、記事の更新状況を確認する。

「こいつ、まだタルパと惚気てやがる!絶対にやめさせてやる!」

 ただ⋯⋯

 会話ログの新着記事がアップされていただけである。

 会話ログとは⋯⋯

 タルパとの対話の様子を記録したもので、自動化のための典型的な訓練法でもあった。また、その会話の内容は、多くの場合、何気ない日常生活に関する事柄、タルパ育成に関するものばかりであった。

 とにかく、千夏にはそれが癪にさわるものらしい⋯⋯

「ワタシノフスキーは惚気をやめろ!消えろ!」

 千夏はぶっちょ面でスマホ画面を睨みながら掲示板に書き込んだ。そして、再び、運光の法力へアクセスして反応を見てみることにする。

「あれ?403 Forbidden?なんだコレ?」

 千夏はブラウザの画面を何度も再読み込みしてみる⋯⋯そして、千夏はベットから立ち上がり、スマホを振り始める。

 興覚めでもするように、森蘭丸から本人へ人格が戻る。

「スマホが壊れた?でも、電話は通じそう」

 千夏は何を思ったのかサポートへ問い合わせをしようと電話をかける。

       :

 関東の某県某市⋯⋯

「てっちん!やったな!」

「ああ、これでバギーさんはオレのブログは見れない」

「利用しているWiFiスポットも割り出したし、これでガチで会いに行けるな」

「いや、オレは直接いかないよ。追々、知り合いの業者に頼むわ」

「そう言えば、C子から連絡あったぞ」

「そう言えば⋯⋯C子、今回はえらい長い航海をしているようだな。ダイブ界では忙しそうだな」

 ワタシノフスキーと二人の幼女タルパA子、B子との奇妙な会話が続く。