第79話 転生後の再会

投稿日 2024.02.29 更新日 2024.02.29

 冷静に考えてみたら⋯⋯

 先ほどの黒塗りの高級車には、いろいろと不自然な点が多いことに⋯⋯徐々に気づき始めていた。

「今時、カーナビ積んでない車って⋯⋯あるのかしら?」

 文子は手をあごに付けて考え込む。

 ゴンは体を震わせ、視線が定まらず、地面の上で立ち尽くしていた。とりあえず、この場に居続けても致し方ない。

「ゴン、お家へ帰ろう!おいで!」

 文子はゴンに、自分の背中に憑くように促す。文子は外出の際、ゴンを背中に憑かせて歩いていた。

       : 

「うむ、なかなか良さそうなお嬢さんだ⋯⋯玉さんはどう思う?」

「私も旦那様と同じ意見ですわ。倫太郎ぼっちゃんに相応しいお相手かと」

「ふむ、玉さんがそう言うなら間違いないだろう」

「ただ⋯何か、どことなく懐かしい感じもしましたわ⋯⋯」

 少し困惑気味な表情で答える玉⋯⋯

 そう、先ほどの黒塗りの高級車に乗っていたのは⋯⋯

 倫太郎の父と玉の二人であった。なぜ、倫太郎の父は、一介の女中に過ぎない女性を連れて来たのか?

「懐かしい感じ?それは良いものなのか?」

「もちろん、良いものでございます。安心してください」

「そうか!玉さんのカンは絶対に当たるからな!これで安心だ!文子さんは倫太郎の嫁第一候補だな」

 黒川家に長年住み込みで働いている⋯⋯

 この玉と言う女性には不思議な力があった。カンが鋭く、どんなものも見抜く能力があることで⋯⋯黒川家の一部の者に知られ、頼られていた。ちなみに、倫太郎本人はまだそのことを知らなかった。

 倫太郎の父が国会議員の地位まで上り詰められたのも⋯⋯

 玉の助言のお陰でもあった。

「そろそろ、倫太郎にも玉さんの正体について明かそうと思う」

「そうですか、いよいよですか」

「うむ、これからも黒川家のことを頼むぞ」

 玉は笑みを浮かべ軽くうなずいた。

       :

 背中に憑かせると言うより⋯⋯

 ゴンの肩車だった。

「ねぇ、ゴン。さっきの⋯⋯本当?」

「間違いない!玉ちゃんだ!また、会いに来るよ!」

 ゴンのカンの鋭さは文子も認めるところだった。ゴンのカンは一度もはずれたことがなかったからだ。