第27話 タルパ作りに必要なこと
幼馴染の隠された一面を知り、興奮する夕菜⋯⋯
穂都と談笑した後、自宅へ帰宅すると、早速、タルパ作りのための準備を再び始めた。タルパを作るための生活環境は、衛生的でなくてはいけない。
部屋の掃除と整理整頓を始める。
ファミレスで穂都から指示されたものだった。
西口商店街の雑貨屋のおやじも、東口で占い館を営むシシルも触れなかった内容である。タルパを作るためには「気」が必要である。良い気を集めやすくするためにも、タルパ作りのための環境はきれいでなくてはならない。
「タルパ作りに風水が役立つとはねぇ。言われてみればそうよね」
次々と不用品をダンボール箱に詰める夕菜。
珍しく、部屋の掃除と整理整頓をしている夕菜を見て感心する母⋯⋯
「あら、どうしたの?急に部屋のお片付けしちゃって?」
「ちょっとね。夏休み前に部屋を整理しておこうと思って⋯⋯」
ようやく、部屋の片づけが終わり、一段落する夕菜。スマホを取り出すと、トットフォーのXアカウントを見る。
「やってるやってる」
夕菜はトットフォーのポストにいいねボタンを押した。その時、おすすめに表示されていたリンダなるタルパが気になった。
「この人⋯⋯タルパか?よく見かけるな」
リンダのポストにもいいねを付けた。
夕菜はすっきりとした部屋の隅に座り込み、しばしXを見入る。夕飯まで少し時間があった。仄かにカレーの匂いがする。
今晩の夕食はカレーだろう。
「なんだ?こりゃ?」
タルパとまったく関係のないものだったが⋯
横浜市内で起きた、ある珍事件を伝える内容が、次々とリポストされ拡散されているのに気づいた。
「何、これ⋯⋯ぷっ、わははははは!!」
スカートを電車のドアに挟まれ、そのまま電車が発車してしまい、パンツ丸出しの姿でスカートを追いかける女性の姿が映し出された動画が⋯⋯拡散されていたのだ。一応、顔にはモザイクはかけられてはいた。
「だから、電車とかバスに乗って学校なんか行きたくないのよねぇ~」
この動画は、日テレニュースやアベマTVでも報じられ、話題を呼んだ。
直後、一階から母の呼ぶ声がする。
「夕菜、お夕飯できたわよ!」
「は~い!」