第22話 タルパ界隈の闇

　夕食後、自室に籠る夕菜⋯⋯

　スマホを手に取り、Xを食い入るに見つめる。

　ネット上でタルパ界隈に関わるようになってから、まだ日は浅かった⋯⋯そう言えば、倉持文子なる人物が作ったとされるタルパ、ゴンくらいとしか親密な交流はしていなかった。

「もっと、いろいろな人に関わって見た方がいいかな？」

　ゴンのXアカウントのフォロワーリストを辿る形で、いろいろな人をじっくり見て回ることにした。

　それにしても⋯⋯

　プロフィール欄に精神病を羅列している人が目立つ。

　そう言えば⋯⋯タルパを全力で作ってみようと思っているまとめなるウィキのリンク集に、掲示板がいくつかあったことを思い出した。

「期待はしていないけど⋯⋯どんなことが書かれているのか見てみるか」

　それは、巨大掲示板「たらばがに」オカルト板にあった、タルパ界隈ヲチスレなるもので、夕菜の想像を遥か斜め上を行くものだった。タルパ界隈住人の悪口ばかり投稿されており、見るに堪えない内容だった。

　タルパ界隈危険度リストなるものもたびたび掲載されており⋯⋯そこには、ゴンの名前も連ねていた。

「えええ！！倉持さん、すっごいいい人なのに何で！？」

　夕菜は動揺を抑えきれず、ゴンへDMすることにした。

　数分以内に返信が返って来た⋯⋯

　倉⋯⋯いや、ゴン曰く。

　誹謗中傷はとにかく無視をしろとの一点張りだった。

　納得が行かず、タルパ界隈と言う場所はいつからこのような感じになっているのか根掘り葉掘り尋ねてみることにした。

　倉⋯いや、倉持のタルパであるゴン曰く。

　どうも、このタルパ界隈には⋯⋯

　男性に対して強い不信感、コンプレックスを持っている女性タルパーがいるらしく、タルパと惚気ていたり、Fセクを楽しんでいる者に対して、誹謗中傷が行われ続けているとの話だった。

　しかし、倉持はゴンと惚気ていない。

　この夕菜の疑問に対して⋯

　以前、倉持は自身のブログ上で、タルパとの惚気を推奨する考察文を投稿していたため、狙われたのだろうとの話だった。

　最近は、恋愛属性と関係ない⋯⋯

　単にタルパとの楽しい生活の様子を描いた日記やイラストを公開しただけで狙われる場合もあると言う。