第18話 成吉シシルの予感

投稿日 2023.12.18 更新日 2023.12.18

 成吉シシル⋯⋯

 美しいロングヘアをした20代後半の女性だった。占い師をする傍ら、このビルの別の階では、雑貨輸入業の会社も経営しているとのことだった。服装はOL風で至って普通。イメージしていたのとは大違いだった。

 とりあえず、夕菜はこれまでの経緯をシシルに打ち明けた⋯⋯

 30分と限られた時間だ。事前に頭の中で整理して、まとめておいた内容をそのまま伝えた。

 すると、シシルは⋯⋯

「時間なら気にしなくていいわ」

 特別サービスで延長は無料と言って来た。シシル側も夕菜の話に興味があるようで、むしろ、逆に質問したいことがあるとの話だった。

 以降⋯⋯

 オカルト好きな女性同士で話に花を咲かせる。

 最後にヒーリングと称し、夕菜の額に手かざしをする。仄かに暖かいオーラのようなものを感じる。

 小一時間くらい互いに話込んだだろうか⋯⋯

 どういう風の吹き回しか、シシルは楽しかったからお金は要らないと⋯⋯これまた妙なことを告げて来た。

 流石にそれは悪いからと⋯⋯

 夕菜の強い希望で、壁際に展示されていたオカルトグッツを一つ買うことにした。それは魔術師が付けるような指輪だった。

 シシルが夕菜にそれを渡す前、両手で包み込み、何かを念じる⋯⋯

「シシルさん、今日は本当にありがとう!」

 今後のダイブ界作りに役立つ情報を多く指導してもらえた夕菜は、最後は感激するような大きな声で礼を言いその場を去った。

「これで理想のダイブ界が作れるわ!」

 喜びながら自宅へ戻る⋯⋯

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 一方、シシルは夕菜が去った後、あごに手を当てて、神妙な顔つきになり考え事をしていた。すると、スマホを取り出しどこかへ電話をする。

「もしもし、浮き輪?今、時間いい?」

 今、シシルは浮き輪と口にした⋯⋯あの伝説の人物である。

「今日、面白い子がやって来たわ」

 シシルは浮き輪に夕菜に関する詳しい情報、話を伝えた。咄嗟に、売り渡した指輪に念を封印してことも告げた。それが夕菜の近くにあれば⋯⋯夕菜の身に起きる変化もわかるらしい。

 ただ、それは悪意を以ってやった訳でなく⋯⋯

 自らの過去の苦い経験から、しばらく、見守りたい気持ちなったからだ。