第15話 死後の世界
夕菜は父の話を聞いて、このように考えた⋯⋯
人間は死に向かうと、時間が徐々に伸びて行き、最終的に無限大になるのではないか?そして、永遠に続く夢が、死後の世界になるのだと確信した。
神妙な面持ちになっていた夕菜を見て、夕菜の父は少し変な話をし過ぎたと察し、急に話題を変えた。
そう、夕菜の進路についてである⋯⋯
夕菜は意表を突かれたかのような状態となり困惑した。
とりあえず、気に入った服を買ってもらえたし、ここは我慢して父の話に付き合うことにした。
その日の晩、夕菜は再びゴンへDMを送る。
昼間、自分の父から聞かされた話と、それにより考え付いた持論のようなものについてである。
人間は死ぬと⋯⋯
本当にどうなるのか?についてである。
数分としないうちに返信が送られて来た。しかし、その内容は心外であり驚かされるものだった。
夕菜に希死念慮があるのではないか心配するものだった。
「私はまだ死にたくないわ」
その後、ゴンと何通かやりとり、意見を交換する。
タルパ界隈は訳ありな人が多く⋯⋯実際、〇殺騒動を起こした者もいたとの話だった。とりあえず、互いの誤解が解け、ゴンの取り越し苦労と言うことで話が落ち着いた。後は互いに他愛のない雑談をして終了した。
それにしても⋯⋯
タルパ界隈と言うところは⋯⋯非常にセンシティブな場所だと改めて実感した。明日こそ占い館へ行こうと決め、早々と就寝することにした。
そして、再び⋯⋯
夕菜は前の晩と同じ夢を見た。
どこか遠い宇宙にある地球によく似た星で、今度は地上に降りて⋯⋯断崖絶壁に囲まれた島のような場所にいた。
今度はそのまま明晰夢状態へ移行した。
「昨日と同じ星にいる⋯⋯」
夕菜は切り立った断崖の淵に立ち、海を眺めていた⋯⋯
次の瞬間、後ろの茂みで何かが潜んでいる音がした。驚いて振り向くと、ウサギの耳のようなものが、茂みから飛び出ているのを目撃した。
「えっ!ぽ、ポンスケ!?」
しかし、すぐに茂みの中へ耳を引っ込ませ奥へ逃げ込んだ。夕菜は茂みの中へ入り、必死にポンスケを探した。
「逃げないで!ポンスケ!」
が、そこで目が覚めた。