第13話 幽界と「夢」の関係
まずは、専門用語が乱立している状況どうにかしたかった。
夕菜はゴンとDMで相談しながら⋯⋯タルパ界隈でも定着しているダイブ界なる言葉に統一することに決めた。
二人のDMでのやり取り内容をまとめると⋯⋯
幽界(デスタウン)はオカルト世界における最上位の概念世界で、思念界はタルパ界隈的な最上位の概念世界となる。ダイブ界は各々のタルパーが持つ精神世界で、倉持が主張している⋯⋯仮に「国」と言うものとも同義になる。
つまり、ダイブ界はそれらに内包された個別世界⋯⋯
思念界の中に無数のダイブ界があると言う方向で議論が落ち着いた。
そんな話はともかく⋯⋯ダイブ界は「死後の世界」の一端にある意識世界に属することになる。そこへアクセスするためには、ダイブや明晰夢、幽体離脱による以外方法はないとも確認し合った。
もっとも、通常の「夢」でもアクセスは可能だ。
夢見の状態は⋯⋯
体内で幽体離脱しているようなものだ。
人間、夜寝ている間に見る夢の世界は⋯生きている間に、一番、死後の世界に近づいている時だと言える。そんな感じで、夕菜の心の中でダイブ界に対する思いが増々強まって行った。そして、ポンスケとの邂逅も⋯⋯
雑貨屋の店主から教えられた⋯⋯駅向こうの占い師の情報もスマホで調べて見ることにした。
「シシルの占い館か⋯⋯土曜日は10時から営業⋯⋯30分で¥2525??」
高校生の身分では少し高めに感じたが払えない金額でもない。一年生の時、近所のコンビニバイトで貯めた貯金も結構あった。
相場的に見ると、他の占い館よりも安めの料金設定だ。
「よし!明日一番で乗り込んでやる!」
夕菜はそう決心すると、部屋の明かりを消して寝込んだ。
その日の夜⋯
夕菜はこんな奇妙な夢を見た。
どこか遠い宇宙の果てにある⋯⋯地球とよく似た星を俯瞰する夢だ。陰となる範囲の地上から、街の灯りと思われる無数の光点も見えた。
きっと、この星のどこかにポンスケがおり、自分との出会いを待っているのだろう⋯⋯夕菜は夢見の中で時めかせた。
翌朝⋯⋯
この夢が妙に気になり、記憶が消失しないうち、スケッチブックに覚えている限りの光景をできるだけ多く描きまくった。