第04話 初挑戦
翌朝――
朝の目覚めを迎えた夕菜は、ベットから起き上がると、少し苛つくように頭を掻きむしる。
「あーぜんぜんダメじゃん!ポンスケが現れない!」
夕菜は小さなウサギの男の子にポンスケと名前を付けていた。
どうせ、今日は日曜日⋯⋯
二度寝して再び明晰夢に挑戦しようとしたが、何か気分が滅入って寝付けない。枕元に置いてあったスマホに手を伸ばすと、タルパを全力で作ろうと思っているまとめへアクセスして見た。
「やっぱり、浮き輪さんのやり方が一番だわ⋯⋯」
しかし、浮き輪なるハンドルネームの謎めいたタルパーは、タルパ戦争以降にぱったりと活動を停止しており、ブログにも鍵がかけられており、自由に閲覧することができなかった。
「たぶん、詳しいやり方はここに書いてあるんだろうな⋯⋯」
夕菜はそれを探るべく、タルパ界隈で活動するために作った専用のXアカウントで、主だった関係者をフォローし、その反応を見てみることにした。
いきなりDMで質問をするのも気が引ける⋯⋯
「まずは、浮き輪さんの情報を得るための人脈作りから始めるか」
たちまち、フォロワーも20人前後に増え驚いた。フォローのボタンを押してから⋯⋯それは、わずか数分以内の出来事だった。
「えっ!?タルパ界隈の人って⋯」
まるで常時、パソコンやスマホに張り付いているかのようだった。
気にはなったが、まずは挨拶のポストをして見ることにした⋯すると、これまた数分以内にいいねボタンが付き始めた。
反応が良いと言うか⋯⋯
でも、まぁ、いい。もう、聞いてみるか⋯⋯ただ、事前に調べた情報から、浮き輪なる人物の名前を出すのは、控えた方が良さそうな雰囲気のある場所だけはなんとなく分かっていた。
「明晰夢でタルパに挑戦中です⋯⋯でも、かくかくしかじか⋯⋯まるっと」
そのままポストしてみた。
すると⋯⋯
やはり、数分以内にある人物からDMがいきなり送られて来た。
驚く夕菜⋯⋯
「ゴン?」
それは、ゴンと言う名前の⋯⋯濃紺の毛色をしたキツネのような姿をしたタルパからのものだった。プロフィールを読むと、マスターは夕菜と同じ明晰夢を得意とする人物で、倉持文子と言う女性らしい。