第02話 決断
期待に胸を弾ませタップする⋯⋯
しかし、その期待は見事に裏切られることとなる。
中を見ると、女子が口にするには憚られるサイト名をした⋯⋯例のブログの新着記事ばかり目立ち、それ以外のブログは更新停止の様子だった。そして、アンテナのコメント欄は荒れに荒れ、見るに堪えないものと化していた。
夕菜は仏面でコメントの数々に目を通す⋯⋯
「消えろ、やめろ⋯⋯なんじゃこりゃ?」
誹謗中傷と罵詈雑言が溢れ、チベット密教の名が廃る⋯⋯
どうやら、運光の法力と言うブログのアンチによる書き込みらしい。
検索結果ではスルーしたが⋯⋯妙な好奇心に駆られ始め、逆に見てみたくなり覗いて見ることにした。
「なんじゃこりゃ?これって⋯⋯ただのギャグサイトじゃん!」
夕菜は特定ブログを非表示にするための機能である×ボタンを押して、アンテナ上から運光の法力の新着情報をすべて消した。
「随分、すっきりしたな⋯⋯」
更新は停止されているようだが⋯⋯先人たちの思いに触れるべく、悪目立ちしていたもの以外、全部見てみることにした。
しかし、どのブログも⋯⋯
途中で投げ出してしまうかのように更新が止まっていた。
「みんな、飽きちゃったのかな?」
もっと詳しく知るため、アンテナのリンク集に掲載されていたまとめサイトへも行って見ることにする。
「タルパを全力で作ろうと思っているまとめ⋯⋯か」
それはタルパに関する議論と考察が日夜行われており、タルパ界隈の中心地的なウィキサイトだった。
気を取り直しタップしてみる。
しかし、またしてもその期待は見事に裏切られることとなる。
中を見ると、サイト管理人による「ものまね疑惑」が取り沙汰されていた。なんでも、他人のものまねをして議論に参加して、自作自演をしていたことが発覚したのだ。当然、コメント欄は荒れに荒れていた。
遠い目になる夕菜⋯⋯
「タルパって⋯⋯やるとギャグ路線に走りたくなるのかな?」
しかし、自分こそは本物のチベット密教のタルパを作り出すことができる自信を覚え始めていた。とりあえず、このウィキサイトに掲載されてあった情報に基づき、何のためらいもなく、すぐにタルパの作成を始めることにした。